砂糖不使用なのに「松山ラーメン」はなぜ甘いのか

愛媛県松山市には甘い味のラーメンがあるという。「松山ラーメン」と呼ばれるものだ。
ラーメンなのに甘いとは、どういうことなのか。現地へ行って取材をしてきた。
砂糖不使用なのに「松山ラーメン」はなぜ甘いのか

「瓢太(ひょうた)」は、松山ラーメンの代表格。とんこつ×鶏ガラのダブルスープに醤油味がベースだ。あるラーメン評論家は「日本一甘い!」と唸ったそうだ。場所は市内電車松山市駅から徒歩8分ほどのメインストリートから一歩裏手に入った所にある。

砂糖不使用なのに「松山ラーメン」はなぜ甘いのか

店内に入ってメニューを見ると、ランチタイムはラーメンとおでんが載っていた。甘いラーメンらしきものが見当たらないが、聞いてみると、普通の「中華そば」が甘いのだという。
砂糖不使用なのに「松山ラーメン」はなぜ甘いのか

こちらが「中華そば」。まずは匂いを嗅いでみたが、甘い香りはせず、臭みもない。
次にスープを一口。すると、確かに甘い! すこぶる甘い! お菓子でも野菜の甘みでもない。
出汁から旨味が凝縮されたような甘味が出ている。そのため、麺や具材が浮いた感じがせず、また中太麺の絡み具合もマッチしている。お店の方に「この甘さは、お砂糖ですか? 野菜ですか?」と聞いてみたところ、「砂糖は入っていません。どうして甘いかは秘密です」という回答だった。

そして何より、チャーシューがスイーツのような甘さだ。しかし、砂糖のような口に残る甘ったるさはなく後味も良い不思議な食感だ。


実は松山市では、鍋焼きうどんにちゃんぽん、パスタなど他の麺類にも甘みがある。
甘い理由は、主に2つあると言われている。
一つ目は愛情表現という意味で甘めになっていること。二つ目は、昭和初期には甘みが貴重だったということもあり、伝統的に甘い麺類を提供し続けていることだそうだ。
砂糖不使用なのに「松山ラーメン」はなぜ甘いのか

ちなみに一緒に注文したおでんの出汁は甘くはなかった。薄口のつゆで素材の味自体が大変ウマい。
柔らかい魚のつみれの中に、ふっくらとしたゴボウが入っていた。
(松岡佑季)

【瓢太 (ひょうた)】
住所:愛媛県松山市三番町6-1-10
営業時間:11時30分~14時30分、17時~23時