2012年の活動休止以降、ソロでの活躍が続いているケミストリーの2人。復活はあるのだろうか? それともこのまま解散…? これといった情報も特にない現状が、全盛期を知る者としてはかなり寂しいのである……。


『ASAYAN』の次期オーディションは「モーニング息子。」発掘!?


モーニング娘。や鈴木あみたちと同じく、テレビ東京系の人気バラエティ番組『ASAYAN』が輩出したケミストリー。
「男子ヴォーカル・オーディション」企画を勝ち上がった堂珍嘉邦、川畑要が結成したデュオだ。'01年3月に『PIECES OF A DREAM』でデビューを果たすが、企画自体は1999年初頭にはスタートしている。

当初、番組スタッフの間では「今度はモーニング息子。か?」なんて揶揄する者もいたそう。しかしその実態は、非常に手の込んだ大掛かりなオーディション企画であった。

レコード会社主導でデビューからミリオンセラーを狙った『ASAYAN』


地方審査は'99年の夏まで全国10ヶ所で開催。全国で19,100名が参加する一大イベントとなった。
ちなみに、モーニング娘。結成時には全国9,900名の中から5人が選ばれている。番組の知名度・人気がアップしたことにより、その規模は倍増した形だ。

「男子ヴォーカル・オーディション」でも最終的に5名に絞ったが、この5名で10通りのデュオとしてコンビを組ませたのが大きな特徴。番組ではライブを開催し、そのライブビデオを販売。
さらに、ネット投票なども交えながら視聴者の反応を探りに探った。
仮デビュー・シングルまで発表するなど、その経費と時間の掛け方はハンパではなかったが、ここまでしたのには理由がある。
モーニング娘。や鈴木あみ(現・鈴木亜美)発掘時にはテレビ局主導だったが、今回の企画はレコード会社主導で進められていた。つまり、当初からミリオンセラーを狙える“売れる男性デュオ”の発掘が命題。残ったダイヤの原石から、1番売れる組み合わせを見つけることに何より力を入れていたのだ。

現・EXILEのATSUSHIやNESMITHと競い合って勝利したケミストリー


最終候補者たちによる合宿や公開ライブ、仮デビュー・シングルの制作から発売に至るまでも随時番組で紹介。候補者たちは正式デビューを前にすでに人気者となっていた。
このときのメンバーには現在EXILEのヴォーカルであるATSUSHIや、同じくEXILEのヴォーカル兼パフォーマーのNESMITHもいた。それだけハイレベルな争いだったのだ。

結局、川畑と堂珍のデュオ『ASAYAN超男子。川畑・堂珍』の仮デビュー・シングルがオリコン9位を獲得する形でプロデビューすることに。'01年1月には正式に『CHEMISTRY(ケミストリー)』と名付けられている。


ケミストリー、デビューから3作連続オリコン1位! 紅白では瞬間最高視聴率!


'01年3月のデビュー曲『PIECES OF A DREAM』は、オリコン初登場2位を獲得。その後、テレビ朝日系『ミュージック・ステーション』出演が追い風となり、発売6週目でついに1位に、その勢いのまま16週に渡ってベスト10をキープするロングヒットとなった。もちろん、当初の目論見通りミリオンセラーも達成している。
すべてオリコン1位をゲットした3枚のシングルを集めたファーストアルバムは300万枚近いメガヒットとなり、'01年のNHK『紅白歌合戦』にも出演。そして、とてつもない偉業でデビュー年を締めくくることとなった。
なんと、ケミストリーが出演した時間帯が52.4%の瞬間最高視聴率を獲得したのだ。デビュー1年未満にして大記録達成である。

'01年にミリオンを達成したシングルは『PIECES OF A DREAM』を含め4作のみ。年間10作を下回ったのは実に10年振りのこと。『ASAYAN』も'02年3月で終了してしまった。
“音楽業界冬の時代”到来直前の最後の大型新人・ケミストリー。2人のそろい踏みはこのまま2度と見られないのだろうか…?
(バーグマン田形)
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