「エアコンの温度設定は28℃に」とよく言われる。冷房運転の28℃は体感的に結構暑いけど、日中はそれでも快適だ。


また、エアコンを標準温度の自動設定でつけっぱなしにしていると、日中は涼しい。

だが、いずれも、問題は夕方以降である。

外から帰宅した家族に「うわっ、家の中の方が外より暑い」と言われることがある。また、エアコンをつけている部屋以外の部屋や廊下のほうが涼しいとも言われる。

日中はエアコンなしでは過ごせない日も多々あるし、外が涼しくなってくる時間帯などは、屋内にいると案外わからないもの。
また、エアコンの運転を停止して窓を開けてみると、うっすら涼しくなることもあるが、風が全然ないだけに、「やっぱり暑いね」と窓を閉めて再びエアコンにすることも多々ある。


夕方から夜の「エアコンつけても暑い」問題、いったいどうすれば? ダイキン工業のコレクトセンターに聞いた。

設定温度に達すると、ほぼ止まっている状態に


「エアコンの機種・型番や設置された環境によっても異なりますので、一概には言えませんが、夕方に27~28℃設定ですと、やはり暑い印象があると思います。外気温を考えたら、24~25度くらいにしたほうが良いかもしれません」

夕方以降に24~25℃!? それはずいぶん涼しい低い設定温度の気がするけど……。なぜなのか。
「エアコンの冷房運転は、設定温度に達すると、『サーモオフ』といって、室内機の圧縮機から冷たい風が出るのを停止し、送風のみの状態になります。日中は暑いので、温度を下げるために27~28℃設定でも冷たい風が吹き、涼しく感じます。しかし、夕方や夜になると外気温が下がってくるので、設定温度に達すると、ほぼ止まっている状態になるのです」

では、日中よりも夕方や夜になって設定温度を下げるほうが良いのだろうか。

「それは一概には言えませんが、もし夕方や夜に『エアコンがついているのに暑い』と感じるなら、送風口あたりに手をあててみてください。それでぬるい風が吹いてくるようだったら『サーモオフ』になっているということですので、不快であれば、温度設定を下げるなり除湿するなりしたほうが良いかと思います」

都心部は熱が滞留する


夜に冷房の温度設定を下げることに抵抗を感じる人もけっこういるだろう。
しかし、これには都心部ならではの暑さもある。
現在、東京の地表面被覆の7~8割は建物や道路になっていると聞く。日中にたくさんの日射を受けると、アスファルトやコンクリート等の表面温度は50~60℃にまで達し、空気を暖める。

クーラーの使用量も日中に多く、夜間に少なくなるが、日中は熱が上方に逃げやすいのに比べ、夜間は風がなく、熱が流れなくなるという。

さらに、都心部には中高層ビルが建ち並ぶことで、熱が放散されず、日中に舗装面などに蓄えられた熱がそのまま滞留し、夜間の温度低下を妨げてしまうのだそうだ。
田舎への帰省や旅行をすると、「日中の暑さは意外と変わらないのに、朝晩の涼しさは全然違う」と驚くことがある。やっぱり東京の夜は暑いのだ。

「エアコンの温度設定は28℃」にしておきたい。でも、それでただ生ぬるい送風にうだる思いをしたり、眠れなかったりするのなら、思い切って温度設定を下げるか除湿してみるのも良いのではないだろうか。
(田幸和歌子)