狩野英孝との2股騒動で話題となったモデルの加藤紗里。早くも「誰だっけ?」といった声が聞こえてきそうだが、6月には写真集を発表し、再びちょっとした露出となってる。

しかし、それより何より、そのカメラマンが加納典明だったことの方が印象的だった。90年代、過激なグラビアで一躍時代の寵児となった写真家、加納典明。随分久しぶりにその名を聞いた気がするのは筆者だけだろうか?

ダウンタウンの番組も出演 バラエティでも人気者だった加納典明


写真家でありながら、小説を発表したり、映画に出演したりと、マルチに活躍していた加納典明。90年代はバラエティにも進出し、毒舌とぶっきらぼうな態度のキャラクターが広く認知されることとなった。
フジテレビ系のクイズバラエティ『世界の常識・非常識』では、ダウンタウンを従えてチームのキャプテンを務めるほど。これが縁となり、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』『ダウンタウンのごっつええ感じ』にもたびたび出演を果たしている。
クイズ番組でのニーズは特に高かったようで、島田紳助と徳光和夫が司会を務めたTBS系『ダウトをさがせ!』でも、独特な存在感を示していた。

過激すぎる加納典明の写真集、70万部の大ヒットに


ブレイク中の1993年2月、全ページが加納典明の撮りおろしとなるヌード雑誌『月刊 THE TENMEI』を創刊。「オスの視線の、何がわるい。」とのキャッチコピーが示すように、男性が欲情することに比重を置いた過激なヘアヌードがラインナップされていた。
宮沢りえのヘアヌード写真集がセンセーショナルな話題となったのは91年秋のこと。まだヘアヌードブームの黎明期である。時代性もあって、創刊号から公称70万部を売り上げる大ヒット作となるが、号を重ねるに連れ内容がエスカレートしていったのがマズかった。

94年7月、ついに警視庁が「わいせつ図画販売の疑い」で警告を発したのだ。いわゆるイエローカードが提示されたのである。

対して、典明はあくまで強気。「青少年を勃起させるのが俺の仕事」と、立ち向かう姿勢を見せたのだ。

「社会にケンカを売る!」意気込み空しく…ついに逮捕される事態に


しかし、警告から半年後の95年1月、『月刊 THE TENMEI』の未公開カットも掲載された総集編『きクぜ!2』が、警視庁によりついに摘発されてしまう。典明の事務所と版元も家宅捜索され、店頭に並ぶ同誌も回収となった。
それでも典明は、「わいせつという概念で何かを守ろうとすることがわいせつなんだ。俺はそういう社会にケンカを売って行きたい」と、一歩も引かない構え。裁判でもトコトン闘うと、鼻息も荒かったのだが……。

結局、翌月には加納典明自身が逮捕されてしまう事態に。
12日間の取り調べを受け、「反省している。今後こういうことはしない」と、これまでの姿勢から一転、粛々と謝罪した。結局、略式起訴で50万円の罰金を払う形で釈放となっている。

このときの逮捕は、見せしめ的なものだったとの意見も多い。
この事件を振り返るたび、加納典明自身も「日本は出る杭を打つ国」と必ず語っている。
わいせつと芸術の線引きは非常に難しい問題であるのに間違いない。
しかし、“いつもギラギラしている存在感”や、「自分が撮った女とは7割ヤッた」と豪語するリップサービスからして、加納典明からは芸術よりもわいせつの匂いがプンプンしてしょうがないのだから、生け贄となったのもやむなしといったところだろうか……?
(バーグマン田形)

加納典明の「ROCK延髄斬」
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