今や珍しくもないようなスイーツも、彗星のごとく登場し一世を風靡した時代があった。
90年代前半は、バブルの影響もあってか、海外発のいろいろなスイーツが一大ブームとなって盛り上がった時期。その時代に流行ったスイーツを振り返ってみよう。
バブルの象徴!?「ティラミス」の登場

バブルとともに、1990年から91年にかけて爆発的なブームとなったのが、「ティラミス」だった。今やファミレスやイタリアンレストランには欠かせない定番中の定番デザートだが、当時は目新しいデザートとして脚光を浴びた。
現在では「ティラミスパンケーキ」「ティラミスかき氷」など、いわゆる「ハイブリッドスイーツ」の一要素としても人気だ。
アメリを気取って。「クレーム・ブリュレ」
1991年には「クレーム・ブリュレ」がブームに。ティラミスほどの知名度ではないかもしれないが、シンプルかつ高級感あるクレーム・ブリュレは、カフェなどで根強い人気を誇っている。フランス語で「焦がしたクリーム」という意味の名前のとおり、カスタードの上面に砂糖を焦がした固いカラメルの層がかかったデザート。95年には映画「アメリ」の中でヒロインの好物として登場し、表面のカラメルを割るシーンが印象的であったため、さらにブームが加速した感もある。
未だに女子高生のおとも。「タピオカ」
1992年には「タピオカ」が登場。
今では考えられない、その存在感……「ナタ・デ・ココ」
1993年は「ナタ・デ・ココ」ブーム。今はとりたててピックアップされることは少なくなったが、当時は社会現象となるほどの人気を博した。そもそもナタ・デ・ココとはフィリピン発祥の伝統食品で、ココナッツの汁を発酵させたゲル状のもの。大手ファミリーレストランチェーンの「デニーズ」がメニューに加えたことがブームのきっかけだそう。
ティラミスに次ぐイタリアン・デザート代表「パンナ・コッタ」
そして1994年には、「パンナ・コッタ」が流行。1992年にサントリーが業務用粉末「即席パンナコッタ」を、1993年に森永乳業がカップ入りの商品を販売し、ブームの先駆けとなり、ファミレスや喫茶店のメニューにも加えられた。手づくりもしやすいため、外食や商品だけでなく家庭で作るお菓子としても人気に。

「パンナ・コッタ、なんてこった!」というオヤジギャグも流行ったということは、このデザートがトレンドに敏感な女性だけでなく、オヤジ世代にも浸透していたことを物語っているのかも。
ファッションのトレンドは繰り返すというが、スイーツのトレンドはこれいかに。バブリーなものが流行りつつある今日この頃、ティラミスやナタ・デ・ココの進化系がまたブームになったら面白い。
(空町餡子)