アイコ四十七歳、祖母
実の親に虐待を受けてきた子・ハジメ(横山歩)と特別養子縁組をするため、様々な試練を乗り越えてきた美奈(尾野真千子)&信次(江口洋介)の夫婦。
虐待を受けていた影響なのか、色んな問題を抱えていたハジメくんも、じょじょに心を開いて必要以上にいい子に変貌し、これでめでたしめでたし……かと思いきや、
「ハジメくんを産んだという女性が名乗り出て、息子さんを返して欲しいと……」
と、実の親登場で急展開した『はじめまして、愛しています』(テレビ朝日系・木曜21:00〜)第7話。
第6話の最後で、富田靖子が謎めいた感じで登場してきていたので、「この人が実の母親なのかな?」と思っていたら、おばあちゃんでしたね。
月子(富田靖子)の家は病院も経営する金持ちだけど、その娘は何らかの事情で親元を離れハジメくんを産み、虐待&育児放棄していた。

それを知った月子がハジメくんを引き取りに来て「この子はウチの跡取りとして育てるわ!」という図式ですな。
しかし、あの富田靖子がおばあちゃん役……!? まあ、もう47歳だからね。『アイコ四十七歳』ですよ!
富田靖子のウザイ敵キャラっぷりに悶絶
金持ちが跡取り云々言って子どもを奪っていこうとする、という要素から大体予想がつくとおり、この月子は完全なる敵キャラポジション。
また、富田靖子の憎まれ役っぷりがいい感じなんだ。
この手のウザイ敵キャラこそが遊川和彦ドラマの真骨頂。こういう人が出てくると、ドラマもがぜん盛り上がるというものだ!
『はじめまして、愛しています』の序盤では、美奈の父親や、信次の母親、妹、弟あたりがウザキャラのポジションだったのだが、「でも本当はいい人」みたいな面が垣間見えてしまって、敵キャラとしては小粒だった。
「もっと『純と愛』における武田鉄矢のような、心底イライラさせられるキャラクターを出してくれ!」と思っていたところに、ここに来て強烈なキャラの投入ですよ。
・常に薄ら笑顔を浮かべているが、目が笑っていない
・「だから、ヒカリ(実の母親がつけた名前)です、あの子の名前は!」とイチイチ訂正してくる
・約束の時間より早くハジメくんを連れ去ってしまう
・美奈&信次夫婦とハジメくんとの別れの時を「30秒経過〜」と、秒単位でカウントダウン
ああ、分かりやすすぎる敵キャラだ。
ま、しかし冷静に考えてみると、いくら月子の娘が虐待をしていたとはいえ、知らないところで自分の孫と勝手に特別養子縁組しようとしているヤツがいたら、
「私(月子)がちゃんと育てるから、どんな手を使ってでも孫を取り返したい!」
と考えたとしてもムリのない話。
このくらい分かりやすくイヤなキャラクターにしておかないと「どっちの言い分が正しいのだ?」と視聴者の感情もブレてしまうという事情もあるのだろうか。
志田未来が遊川ドラマに帰ってきたぞ!
富田靖子の敵キャラっぷりにも興奮させられたが、それ以上にグイッとテンションを突き上げさせられたのが、ハジメくんの実の母親(月子の娘)役として志田未来が登場したこと。
遊川和彦ドラマにおける志田未来といえば、『女王の教室』でおしっこを漏らしてしまう生徒役の印象が強いが、今回のドラマとリンクして思い返されるのは、志田未来が14歳で妊娠・出産してしまうという衝撃作『14才の母』ですよ!
『14才の母』では、志田未来の母親役は田中美佐子だし、出産した子どもの名前も「そら」だったので、明らかに別の話なのだが、
鬼教師と戦っていたあの子が……。
と、どうしても続編感覚で妄想を広げてしまう。
第7話では、最後にチョロッと出てきただけでセリフもなかった志田未来だが、今後、
・実家は金持ちなのに、なんであんな汚いアパートに住んでいたのか
・ハジメくんの実の父親は? シングルマザーなの?
・というか志田未来は何歳の設定なの?(童顔なんで……)
などなど、気になるポイントが順次明かされていくのだろう。
しかし、こうやって実の母親役を志田未来にやられちゃうと、こっちに感情移入してしまいそう。
ハジメくんが美奈&信次と引き離されて実の母親の元に行ったとしても、結局、実の母親からハジメくんを奪い取って美奈&信次と特別養子縁組をしたとしても、どっちにしろ後味が悪くなってしまいそうだが……。
この辺りを、遊川和彦が最終回まであと数話でどんな風にまとめてくるのか? それとも、ここ数作のドラマと同じように最終回でボーンと放り投げて終わってしまうのか?
もちろん、キレイにまとめてグワッと感動の涙をしぼり取ってもらいたいところだけれど、遊川マニアとしては、広げた風呂敷を全然たたまない放り投げエンディングを見せられて、「バカヤロー! ちゃんと終わらせろ!」と叫びたい気もする。
(イラストと文 北村ヂン)