今年の一大ニュースといえるSMAP解散をめぐって、ネット上では“ユダタク”の呼称が散見される。これはキムタクをキリストを裏切ったユダになぞらえ命名されたものだ。


ところで、キムタクは国民的アイドルであるゆえ、さまざまなところでネタにされる。その中でも知る人ぞ知る存在が「木村卓球屋」である。略して"きむたきゅ"だ。

友人関係にあったキムタクと松村邦洋


木村卓球屋は、1993年から1999年にかけて放送された『松村邦洋のオールナイトニッポン』(ニッポン放送系)におけるワンコーナー「木村卓球屋のホップステップスマッシュ」で誕生した。松村が木村拓哉のものまねで、芸能界や社会などに鋭いツッコミ(スマッシュ)を入れるコーナーである。

当時、松村は特攻隊を描いた映画『君を忘れない』で木村と共演し、友人関係にあった。そこで、間近で見た木村のキャラクターを松村は音だけで再現しようと試みる。木村卓球屋の口癖は「すんげぇ、すんげぇ」という強調の繰り返しや、「フハハ」といった乾いた笑いである。
木村は当時から言葉少なげな人物として知られるが、ちょっとした口癖などから木村らしさをつくり上げたのだ。これが実に似ている。松村のものまね芸人としての繊細なセンスがうかがえる。

時事ネタに鋭く切り込んだ「木村卓球屋」


リスナーの間では「スマッシュコーナー」の愛称で通っていたこのコーナーは、芸能人やテレビ番組だけではなく、時事ネタに鋭く切り込むことで知られた。1995年に世間がオウム真理教報道一色にそまった時は、ジャーナリストの江川紹子や、麻原彰晃の弁護を一時期担当していた横山昭二弁護士を積極的にネタにしていった。


松村邦洋といえば、テレビではものまねが得意な性格の良いデブタレという印象が強い。だが、ラジオの松村は毒気を帯びていた。「スマッシュコーナー」で、落ち目のタレントやアイドル、またはつまらないテレビ番組などに、鋭いツッコミを入れる様子は深夜番組ならではのノリであったといえる。

このラジオは木村自身も時おり聴いていたようで、事実上、本人公認だったとも言えるだろう。コーナーでは木村自身がネタにされることもあり、『24時間テレビ』(日本テレビ系)で木村が「キムタクへの手紙」を朗読した時は、大量のハガキが殺到したという。
(下地直輝)
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