週刊少年ジャンプ』で連載の人気マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、通称 『こち亀』が、2016年9月17日発売のジャンプ連載をもって終了することになった。連載開始から40年間、TVアニメや映画、舞台化などもされ、単行本は全200巻に達することとなる。
節目としてキリのいい数字ではあるが、最終巻では582ページという大ボリュームになるのだそう……。
その200巻目となる今回の単行本は、「最も発刊刊数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス世界記録にも認定されることとなった。その次点は、さいとう・たかをが描く『ゴルゴ13』なのだが、そちらは現在でも168巻だ。

40年間休載なし 秋本治氏の偉業


『こち亀』 が連載スタートした1976年当初、作者の秋本治氏は「山止たつひこ」というペンネームを使用して短期連載を手がける予定だったが、思わぬ人気により長期連載に変更。
連載100回を機にペンネームも本名の「秋本治」に変え、その後「アトリエびーだま」という漫画制作会社も設立して、40年にわたる連載漫画を制作してきた。しかも、驚くのはその40年間で週刊連載の休載がゼロという鉄人のような記録。それこそがギネス級の偉業といえるかもしれない。

そんな『こち亀』の破天荒な主人公「両さん」とは相反するかのように、作者の秋本治氏は特技を「締め切りに遅れないこと」と自負するほどの律儀な性分だという。
締め切り前には必ず原稿を仕上げ、旅行へ行くにも数週間分のストックを準備してから出発するなど、編集者にとってはありがたいタイプ。長期連載をこなせたのも、その性格あってこそなのだろう。

原則的には『こち亀』一本のみの連載で続けてきているが、意外にも『週刊少年ジャンプ』を発行する集英社発行の『りぼん』や『マーガレット』など少女漫画誌にも、読み切りなどで時に女子向けの全く違うテーマの漫画を描いていた。
また、連載17年目の1993年には、ストーリーや作中のネタを集めた『Kamedas(カメダス)』という公式大全集が刊行。ファンには必携の書となった。
さらに25周年には『Kamedas 2』も刊行され、そこには尾田栄一郎、荒木飛呂彦、富樫義博、鳥山明などそうそうたる漫画家のメンバーが寄稿している。

『こち亀』終了…各界の著名人の反応は


今回の連載終了にあたって、各界の著名人によるコメントを要約するとこのような感じだ。

以前、「『こち亀』を読んで笑えるかどうかで、自分の体調を判断している」とまで語っていた麻生太郎副総理は、「キャラクターが立った漫画だったので、とても残念」
アニメ化の際、主人公の両津勘吉役の声優をつとめたラサール石井は「つらい。まだまだ続けてほしかった… 新作に期待したい」
連載終了のニュースを聴いた、ダウンタウン松本人志は「ゴルゴをつかまえてほしい」
『こち亀』と同じく長期連載『ゴルゴ13』を現在も続ける、漫画家さいとう・たかをは、「ご苦労さまと言うしかない。寂しいのとうらやましいのと、不思議な気持ち」
様々なメッセージから、あらためて『こち亀』が与えた影響の大きさと幅広さを感じる。

当たり前に続いていたシリーズが終わってしまう寂しさはあるが、数えきれないほどの『こち亀』の足跡を残してきた秋本氏の偉業をたたえながら、さらに次の新作を楽しみに待ちたい。
(空町餡子)

※イメージ画像はamazonよりこちら葛飾区亀有公園前派出所 200 特装版 40周年記念 (ジャンプコミックス)
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