シングルCDのトリプルミリオンは、1999年3月に発売された「だんご三兄弟」以来だというニュースが駆け巡ったが、「だんご三兄弟」ってそんなに売れたのか! と思った人も少なくないだろう。
その「だんご三兄弟」だが、1999年のリリース以来、どれほどのブームを巻き起こしたのか振り返ってみよう。
「だんご三兄弟」とは?
NHK「おかあさんといっしょ」のうたのおにいさん(速水けんたろう)、うたのおねえさん(茂森あゆみ)が番組内で歌い、特に子どもたちの間で大人気となった「だんご三兄弟」。
串に刺さった3つの醤油だんごを長男、次男、三男3兄弟に見立ててキャラクター化したもので、「だんご」と「タンゴ」を掛けたタンゴ調の楽曲だ。この曲がきっかけで、「長男、次男、三男」というボキャブラリーを得た幼い子供も多かったのではないだろうか。
大ブームになった「だんご三兄弟」
この曲は満を持して1999年3月、CDシングルとしてポニーキャニオンから発売されることになる。シングル「だんご三兄弟」は瞬く間に売れ、初回出荷80万枚もすぐに完売、発売当日の追加注文が20万枚、発売日3日目で出荷枚数250万枚を突破する異例の大ヒットを記録した。
もちろん1999年オリコン年間シングルチャート1位を獲得。第41回日本レコード大賞特別賞、ゴールデン・アロー賞、日本ゴールドディスク大賞など多くの賞を受賞し、この年の第50回NHK紅白歌合戦でも披露された。
「だんご三兄弟」を歌った楽譜や絵本などの関連書籍やキャラクター商品なども爆発的に売れるなど、子どもたちだけにとどまらない社会現象となったが、あまりにも爆発的であったブームは、やはりすぐに沈静化。とはいえ、1999年10月から2004年3月に「おかあさんといっしょ」内で放映されたショートアニメ「だんご三兄弟 あっという間劇場」も、従来のだんご三兄弟キャラクターとキャッチーな音楽が相まって、幼児を中心に人気を集めていた。
その後もブームとはならないまでも、この歌は根強く愛され、「だんご」や「三兄弟」というワードを聞けば真っ先に思い出す曲になっているのではないだろうか。
速水けんたろうの活動自粛、そして復帰
しかし、だんご三兄弟がらみの出来事は、明るいものばかりではなかった。
この曲の歌い手の一人だった「うたのおにいさん」速水けんたろうは、2011年に大きな交通事故を起こし、有罪判決を受けてしまう。この事故によって、速水は一切の仕事を自粛することになり、「だんご三兄弟」世代へ大きな衝撃を与えた。
深い反省の期間を経て、速水は2012年東京都内で行われた陸前高田市復興支援団体TAKATA-FESTAが企画するチャリティーイベントに特別出演し、再始動を果たす。同年、音楽活動も再開。
2015年度からは、「おかあさんといっしょ」関連のイベントにも再び携わるようになり、今年4月には17年ぶりに「おかあさんといっしょ」へ楽曲を提供。本格的に同番組への関わりを回復させたのだった。
「だんご三兄弟」で育った世代が、今は親になりつつある。「だんご三兄弟」は歌い継がれていくだろうか。また、NHKの子ども番組から「だんご三兄弟」に次ぐヒットは生まれるのだろうか?
(空町餡子)