
「フリースタイルダンジョン」(テレビ朝日)、初回放送は2015年9月。
「高校生RAP選手権」は10回目にして日本武道館ソールドアウト。あの「さんピンCAMP」が20年ぶりに復活を遂げ、さらに「フリースタイルダンジョン」で審査員を務めているいとうせいこうがデビューアルバム『建設的』リリース30周年を祝って2日間に渡るフェスを敢行。
大型CD店には「フリースタイルダンジョン」コーナーが常設され、ヴィレッジヴァンガードでは公式Tシャツとタオルが販売され、モンスターの漢 a.k.a. GAM>『ヒップホップ・ドリーム』は版を重ね、いまではなんと3万部だって!(Abema TV fresh! で毎週火曜日放送中の「漢たちとおさんぽ』で誰かが言ってた)
そして、1周年の節目となる本日「フリースタイルダンジョン」、大胆な新ルール導入と共に3rd seasonに突入!
はい、ここまでは仕込みのテキストです。筆者は関西在中につきabemaTVでの視聴となる。つまりフレーズを吟味することが出来ない。しかも新ルールは展開が早い「チーム戦」と予告されていて、これも不安要素。
ただ「隠れレビュアー」を名乗った以上は引けない。30分間、耳目を全開にして、最強フレーズをがっしり受け止めるぜ! チャレンジャーやモンスターたちと同じテンションで番組と向かい合わなければいけないってことです。
放送直前にtwitterで番組公式アカウントから新ルールの詳細がつぶやかれた。
「チャレンジャーは3人1組でモンスターに挑戦1vs1、1vs1(隠れモンスター)、2vs2、3vs3、ラスボス般若と5ステージに挑戦! 全てクリアすると賞金100万円! 果たしてどうなる?! 」
わ、わからん。ラスボス般若戦は3vs1になるって感じ?
ついにシーズン3はじまるよ
深夜2時6分。abemaTVでの番組スタート、うぇいよー!
新ルールについてR-指定がコメントする。
「どういう感じになるかちょっとわからない」
オレもだよー。
最初のチャレンジャーが登場。目下、大注目を集めているクルーKANDYTOWNよりTEAM KIKUMARU。まずは「1on1」が選ばれる(誰が選んだのー?)。TEAM KIKUMARUからKIKUMARU。対するモンスターは漢a.k.a.GAMI。
先攻のKIKUMARU、伸び伸びとステージを動きながらラップしていく。声の通りもよくパフォーマンスは悪くない。
しかし、漢の動きが想定外だった。応戦しながら結果的にステージ上のチャレンジャーをグルグルと追い回す形に。また、現在進行形のあるラッパーとのトラブルを投影させたDISにはリアリティがあった。
この詳細を知りたい方は参考動画をどぞ。
「漢 a.k.a. GAMI / って事だよね?」
試合は漢a.k.a.GAMIがクリティカルで勝利。TEAM KIKUMARUは敗退となり、他の2名は出番なし。えぇぇ、新ルールこわっ!
片目のオジキが登場!
次のチャレンジャーはTEAM411。DARTHRAIDER、hiero、J平の3名。全員の誕生日が同じだけれど一緒に演奏するのはこれが初めて。えっとそれは「チーム」なのか??? 新ルールはつくづくわからんなー。
この試合は「2on2」(誰が選んだのー?)でスタート。
「DARTHRAIDER&hiero」vs「サイプレス上野&CHICO CARLITO」。
このラウンドはチャレンジャーが僅差で勝利。新ルール、敵味方のバトルなのだが一筋縄ではいかない。
つぎのラウンド。発端を作ったサ上が「こんな話はもうやめよう」とはじめ、TEAM411の由来である誕生日の話題に。流れで、サ上がhieroに息を吹きかけて挑発。ケーキに灯るロウソクを消し、浮かれたバースディに水を差すイメージだ。サ上さん、それやり過ぎ! とCHICOが両者をいさめるのだが、hieroはサ上に「クセェそんな息かがねぇ」と食ってかかる。
ここまでラップはしていたが基本、静観の構えだったDARTHが最後のバースでぶっかました。
「俺たちは頭上に命のロウソクを灯して それを少しずつ消しながら戦っている男 お前らも少しは道徳を学べよ」
ロウソクと道徳で韻を踏みつつ、DARTHがずっと「ウン」にこだわり続けた理由がようやく判明。
DARTHの眼帯は飾りではない。
「運命」や「ロウソクの灯火」は他の3人から出てきたワードだと思うが、それらをすべてかっさらい、自分のフレーズに自分のメッセージに凝縮した。
またこのパンチラインは、こうした出来事を個人の不運としてではなく、生きている全ての者が避けられない「運命」であることを示していて、誰もが呆気に取られた(パンチ食らったサ上の表情が印象的)。この挑戦者強すぎ!
次週は3on3。マイクを持つラッパーが2人増えるわけで、今回のような誘導的作戦は使えなくなるだろう。そして、次に進むとなると1on1。それはもちろんレーベルの共同経営者的存在の漢とのバトルになるだろう。げげげ、これはすごい戦いになること、間違いない。そしてその先に3名のMCが般若に挑むのか……。
あれれ、新ルールはかなり期待出来るかもしんない!
おまけ1:
今回のライブは日本語ラップ開拓者のひとりTwiGy。日本語ラップの「青春」とも言うべき貴重な証言としての著書16小節」が発売中。
おまけ2:今週のオススメCDはこいつだー! 今回はうっかり墓穴を掘ってしまった感あるサイプレス上野。しかし、それも大らかでお人好しな人間性の賜物ではないか。サ上が音楽レーベルP-VINEの膨大なストックからセレクトした日本語ラップの名曲のMIX-CD。トラックの丁寧な繋ぎにただならぬ日本語ラップの先人たちへの「愛」を感じる好盤。
「LEGENDオブP-VINE日本語ラップMIX」LEGENDオブ伝説 a.k.a.サイプレス上野」
(飯田和敏)