自然派とは真反対だった高樹沙耶
高樹沙耶は2000年代はじめから、自然派志向となり、千葉県の南房総市を経て、石垣島へ移住。本名の益戸育江名義で、自然とともに生きるナチュラリストを自称していた。
だが、90年代の彼女を知る人間からすれば「なぜ?」の疑問が拭えない。どちらかといえば、自然派とは真反対の場所にいたからだ。いまや遠い記憶となっている90年代の高樹沙耶の活躍をふりかえってみたい。
『お金がない!』での冷徹な女上司役
女優としての高樹沙耶の活躍でまず挙げられるのは、『お金がない!』(フジテレビ系)の柏木麗子役だろう。
『お金がない!』は1994年7月から9月まで放送されたコメディタッチのテレビドラマ。貧乏育ちの織田裕二演じる萩原健太郎が、一流企業のユニバーサル・インシュアランス社に潜り込み活躍する話である。この会社で、仕事第一の冷徹な女上司役を演じたのが高樹であった。スレンダーなボディと端正な顔立ちは役柄にぴったりであったといえる。
嫌味な若奥様を好演した高樹沙耶
もうひとつ思い出されるものが、1994年1月から3月に放送された『スウィート・ホーム』(TBS系)の桜井かがり役である。高樹は常にエルメスで身を固める嫌味な若奥様を好演した。
このドラマは名門小学校を目指す“お受験”をコメディタッチで描いた名作ドラマである。ママたちが子どもを通わせるお受験塾(先生役は野際陽子)のママ友と子どもたちを中心に話が進む。
平凡ながらも明るい家庭を築いている主演の夫婦は、山口智子と布施博という並び。
対して高樹が演じた桜井家は、お受験仲間の間ではお金持ちかつエリートながら、夫に愛人がおり夫婦仲は冷めきっている。さらに家の女の子が常に「クレヨンしんちゃん」のものまねでしゃべることに手を焼いている設定だ。
エリート一家の、外面と内面のギャップがうまく浮き彫りになっていたと言えよう。
オシャレな女性像を演じることが多かった
90年代の高樹沙耶は、キャリアウーマンや、セレブ妻、女弁護士といった、時代の先端をいくオシャレな女性像を演じることが多かった。さらに私生活では、1998年にミュージシャンの中西圭三と結婚している(2年後に離婚)。
そんな人間がなぜ“大麻で逮捕”にまで至ってしまったのか、当時を知る世代としては理解に苦しむのは確かだろう。
※イメージ画像はamazonより心の楽園に住む (集英社be文庫)