木曜劇場『Chef~三ツ星の給食~』(フジテレビ 木 よる10時)。
三ツ星レストランを追い出されたシェフ・星野光子(天海祐希)が、小学校の給食づくりに奮闘する。

天海祐希のセルフイメージ、ロナウドからマラドーナへ「Chef~三ツ星の給食~」今夜6話
『マラドーナ自伝』ディエゴ・アルマンド・マラドーナ・著、金子達仁・監修、藤坂ガルシア千鶴・翻訳/幻冬舎

第5話あらすじ


光子が自分の店を持つと意気込んで始めた三ツ星屋台は、「1品しか出せない(フルコースはダメ)」という屋台のルールによって頓挫してしまった。
一方、食材価格の高騰で給食が中止の危機に。なんとしても給食を続けるために、栄養士の荒木(遠藤憲一)は安価なサメを使うことに決める。

今回光子が挑んだのは、三ツ星屋台の再開と、臭みと味の淡白さがネックであるサメを「最高においしく」調理すること。
その2つの問題を、フレンチの神髄である「ソース」を使って解決していく。

個人主義のC・ロナウド、チームを牽引するマラドーナ


光子は、第4話までは自分をサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドに例えていた。
C・ロナウドは、チームプレーよりも個人プレーが得意なスター選手。ピッチの外での言動に批判の声も多い。

そんなC・ロナウドに、プライドが高い三ツ星のスターシェフである自分を重ねていたのだ。

しかし、第5話ではC・ロナウドの名前は出て来ず。
代わりに登場したのが、元・アルゼンチン代表選手である「マラドーナ」だ。
貧乏のせいでサッカーを諦めようとする少年に対して、こんな声をかける。

光子「ペレもマラドーナも、こどもの頃は貧しかったのよ。スーパースターは、環境のせいにはしない。
環境を変えるのは、知恵と努力。なんたってそれはタダだからね」

食材価格の高騰による、代替食材での給食づくりが上手くいった。
その後、自分の屋台で出すメニューのアイデアをひらめいて、光子は言う。

光子「スーパースターはどんな状況でもゴールを決める。1986年のメキシコワールドカップ準々決勝、マラドーナは奇跡の5人抜きでゴールを決めたあ! ……よし」

マラドーナも、C・ロナウドと同じくピッチの外での言動が問題視されがちな選手ではある。光子の言うW杯での5人抜きなど、個人プレーが評価されるスーパースターだ。

しかし、アルゼンチンサポーターは、彼の「チームプレー」も称賛している。

「蹴られて倒されても起き上がって、チームを引っ張る姿に勇気付けられたものさ。頼もしいリーダーだった。みんなマラドーナに憧れていたよ」
(SOCCER KING「アルゼンチン人にとってマラドーナは“神”か“恥”か…30年間での変化と不変」

篠田(小泉孝太郎)の策略で追い出された三ツ星レストラン。
こどもたちに「まずい」と言われた学校給食。
ルールを知らず警察のお世話にまでなった屋台。

怒涛の挫折を味わった光子だが、倒れても起き上がって、知恵と努力で道を切り開いてきた。
第5話では、そんな光子に周りに影響を受けていく様子が描かれた。

篠田は、光子の屋台からヒントを得て、三ツ星の味が低価格で食べられるビストロを開く。
荒木は、おいしさにこだわる光子を見て、居酒屋経営していた頃のように、食材をおいしく調理することの喜びを思い出し始める。
市場の卸売業者のおやっさん(山本龍二)は、光子を嫌うようなことを言いながらも腕とプライドを評価し、鴨を卸す取引先を教えてくれる。
逆に光子も、チームプレーを自然に受け入れていく。


光子「あなたたちは、よく頑張った。あとは、スーパースターがゴールをきっちり決める。いいパスだったわよ」

サッカーは、メンバーみんなで1つのゴールを目指すスポーツ。
光子の真面目さとプライドに引っ張られ、ここにきてみんなが同じ方向を向き始めた。

光子、もう1つの挫折


第5話では、自慢の鴨のコンフィを引っ提げて屋台を再開する光子。
それを陰から見ている高山晴子(川口春奈)。
通りかかった友人に「サクライヒカリ」と呼ばれる。

次回は、光子のもう1つの挫折について描かれる。
第1話で、調理師補助の馬場(市川しんぺー)が「星野光子はフランスにいたときに夫とこどもを捨てた」という情報を、入手していた。
おそらく、光子が捨てたというこどもが晴子なのだろう。
サクライヒカリこと晴子が、偽名を使って光子を追いかけていたのだ。

過去、料理を諦められず、夫とこどもに対して「知恵と努力」を振り絞ることができなかった光子。
光子と晴子の2人が、思い出のオニオングラタンスープを通して向き合うことになるであろう第6話。11月17日今夜放送だ。

(むらたえりか)