各種サイト、SNS、はたまたネットショッピングなど、インターネットにおける様々なシーンで義務付けられているものがあります。それは「ID」または「パスワード」。
望んでないのに、いつの間にか数種類のパスワード（ID）が必要になってくる。そして、それらは増え続けていく一方。皆さん、果たして管理はどうしているのでしょう？ 私の場合、2～3のパスワードを使い回して対処してます。……なんてことをここで告白してもいいか不安になるほど、セキュリティは穴だらけだと自覚もしているわけで。
さて、どうしたものか……。
六角形の中のマス目に文字を記入
ここで、アイデア賞ものの“六角形”をご紹介したい。今年の9月より発売されている『パスワードノート』は、我々が持て余しているIDやパスワードの管理にピッタリなんです。
では早速、その使い方をご説明しましょう。この六角形の中で好きなマス目を“一番目の枠”というか“起点”として設定してください。そして、それを自分の心の中でしっかりと思い留めておいてください。
そして、好きな場所から好きなパスワードをマス目の中に書いていっていただきたい。その後、残ったマス目は適当な文字や数字を書いて埋めてしまう。結果、六角形に埋められた文字や数字やアルファベットはメチャクチャな羅列に見えてきます。
でも、自分だけはどこからどこまでがパスワードなのか把握しているので、しっかりとした記録になっている……という按配です。
また、このノートを使いこなすには六角形の横に設けられた「Hint（ヒント）」の欄を上手に活用してください。
例えば「一番目の枠から右へ3つずれたマス目から始まる6文字」とか、読み解き方をちゃんとノートに残しておく。ジグザグにしてもいいし、マス目1個飛ばしにしても良い。それらの“自分ルール”は自分以外にまるで意味がわからないし、一方で本人にとっては読解するための確固たる頼りになります。
最後は、絶対にアナログな方法が残る
そんな『パスワードノート』を思い付くに至った経緯を、開発者である「アマノコトワリ舎」（奈良県天理市）の酒井麗さんに伺いました。それまで酒井さんは3～4個のID、パスワードを使い回して対処していたそうです。
「でも、サイトによっては指定される文字数が違ったり、急に『大文字で入力』と言われたり、今までのものが使い回せない事態になってきまして……。もう、どこまで増えるんだ！ って（苦笑）」（酒井さん）
それからは、普通のノートにパスワードを記録するようになったという酒井さん。実は彼女、デザインの仕事もしているので「パスワードを管理できるノートを、自分でデザインしよう！」と思い立ちます。
「ある時『書き記すのはまっすぐじゃなくてもいいんじゃない？』と思い付き、六角形にマス目を作ってみたんです。そして書いてみると、マス目がクルッと環になってるけど、少なくとも本人にはパスワードがわかるな……と」（酒井さん）
またIDとパスワード管理に関しては、当初から「ノートに書き写す」というアナログな方法にこだわったそうです。
「アナログが一番強いし、最後に残る方法だと思っています。
アプリだと有料で高額なものもあるし、そもそもそのアプリに入るためのパスワードを忘れちゃうともうダメなんですよね（笑） あと、アプリだとハッキングされる心配もあります」（酒井さん）
でも、パスワードって一度決めても変えなきゃいけないタイミングが来るじゃないですか？ 「パスワード変更のお願い」という、よくあるアレです。これが面倒なんだ……。
「そういう場合は、元々に定めておいた読解のルールだけ変えてしまえば大丈夫です。始まる位置や文字数を変えることで、パスワードの順番が入れ替わったり、以前に書いた適当な文字がパスワードに入り込んだり、新しい組み合わせとして出来上がります」（酒井さん）
使ってみると、案外に簡単
さて、私も実際に『パスワードノート』を取り寄せてみました！
では、実際にノートを用いて使い方を実践してみましょう。まず、画像の丸で囲った枠を“起点”に設定し、心に留めておきます。
パスワードは、仮に「EXCITE」という6文字を設定してみましょう。ルールは「1から右方向へマス目一つ飛ばしで6文字」。
起点以外の別の場所からスタートしたかったとしても、ヒントに書き残しておけば問題無しです。
残りのマス目には、適当な数字やアルファベットを書き込みます。すると、こんな六角形になりました！
ワケ、わかんないでしょ？ でも、私だけにはわかる。そして、パスワード変更のタイミングがやって来ても使い続けることができる。
要するに、こんな感じです。全然、難しくない！
高齢者の購入が多い。その理由は……
ところでこのノート、特にどのような方が購入されることが多いですか？
「意外と年齢層は高めで、50～60代の男性が多いです。中には80代の方もいらっしゃいますよ」（酒井さん）
50代男性の場合、会社の管理職の方が多い模様。会社内のシステムで暗号・パスワードを設定する場面は多く、それらの組み合わせは工夫が大変です。でも、このノートを使えば苦労いらず！
「80代の方の場合、頻繁にネットショッピングされる方にノートをご活用いただいているようです」（酒井さん）
そんなこの『パスワードノート』は、「アマノコトワリ舎」のオフィシャルサイトにて購入することができます。価格は税込みで950円。
「ノートは計44ページあります。1ページごとに2つの六角形があり、1つのパスワードを記録するために2つの六角形を使うシステムになります。要するに、一冊で44のサイトのID・パスワードを記録することができます」（酒井さん）
酒井さんもこのノートは実際に活用しており、Gmailなど同じカテゴリーのものは1ページにまとめているそうです。
六角形のマス目は48個あるので、様々な組み合わせを作成することができるはず。自由自在だし、当人にしか解読できません！
（寺西ジャジューカ）
