「〜ビギナーズ」ではキュートなおばあちゃんのイラストキャラクター、高木ハツ江がナビゲートするが、この「スパルタ和食塾」はハツ江の姉、濱バツ江(こちらもイラスト)が登場。
バツ江に指導を受けるのは、阿佐ヶ谷姉妹。豆苗炒めくらいしか作ったことのない二人が、和食の基本を8日間で叩き込まれる。

料理番組なのにドラマ部分がぐいぐいひきこむ
全8回のうち先週4回の放送を終えたこの番組、5分番組にも関わらず料理以外の要素にやけに力が入っている。
第1回「肉じゃが」。二人で古い一軒家に暮らす阿佐ヶ谷姉妹。ある日、姉の江里子が同窓会の誘いを受ける。初恋の人、はじめ君からの電話に舞い上がる姉。同窓会をきっかけにデートに発展する妄想が広がるが、はたと気づく。はじめ君に手料理を振る舞おうにも、レパートリーは豆苗炒めのみ。絶望する姉のもとにバツ江がどこからともなくやってくる。包丁の入れ方や姿勢から二人に教え込むバツ江。すいすいと包丁が入るシーンでスーダラ節を歌ったりしながら姉妹は教えを実践してゆく。
第2回ははじめ君の好物でもある「鶏の照り焼き」。たれを煮詰める工程で「泡が1cmくらいになったら」といわれ、定規を持ち出して1cmを測るも、うまく目盛りを読めず「(メガネを)遠近両用にしましょうか?」と言い合う姉妹がキュート。できあがった照り焼きをご近所の田中さんのもとへおすそわけに行くと田中さんは引っ越したあとで、それを教えてくれたタイ人留学生に食べさせることに。
このあたりで合計10分しか視聴していないはずなのに、もうすっかり物語にひきこまれている。

阿佐ヶ谷姉妹の関係性は見どころのひとつ
第3回は「みそ汁、茶碗蒸し」、第4回は「親子丼」と毎日少しずつレパートリーを増やしてゆく姉妹だが、第4回のラスト、一本の電話を受けた姉が倒れてしまう……。
この後の展開、めちゃくちゃ気になる! 江里子はどうなってしまうの? はじめくんとの再会は? そして出会ったタイ人との関係は?
ちなみに、第4回冒頭、姉妹が壁ドンではしゃいでいたところから、ラストで倒れた姉を見て「お姉さん床ドンだわ……」とつぶやく妹・美穂が味わい深い。
阿佐ヶ谷姉妹といえば、先日行われた初めての単独ライブで、姉の江里子が感極まって泣きながら挨拶をしていた。その横で、妹の美穂はさして慌てる様子でもなく、挨拶をかわり、無難にまとめた。その姉妹の関係性が、このドラマにも反映されているのだ。

公式サイトの充実度もあなどれない
本題のレシピのほうも、すべての工程を丁寧に説明してあり、とてもわかりやすい。茶碗蒸しをフライパンで蒸したり、親子丼も小さめのフライパンでつくったりと、さりげなく初心者にあわせて手軽にできるレシピにしてあるところがさすがEテレ、さすが「きょうの料理」。
これらすべてのレシピは公式サイトに動画で置いてあり、自由に見られるようになっている。ちなみに、このサイトがとても充実している。
また、姉妹のキッチンの冷蔵庫に貼ってあるスパルタ和食塾のラインナップ表もダウンロードできるようになっているのだが、無駄に頑張ったワードアート、POP体、バランスの悪い吹き出しといかにも「慣れていない人がワードで作った」感があり、いいふざけっぷりが隅々まで感じられる。
さて、「バツ江のスパルタ和食塾」では今日から後半4回が放送される。サイトの「出演者情報」によれば、今後は姉妹の本物のマネージャーでもあり、「ゴッドタン」の「マジ歌」などでもおなじみの大竹マネージャーが本人役で登場する模様。また、はじめ君は劇団「ロロ」の亀島一徳が演じているようだが、前半4回は常にぼかしが入っており、ちゃんと顔を見ることができなかった。本人は高校生役も自在にこなすメガネ男子なので、ぜひ後半は顔出しで登場してもらいたい。
姉の恋はいったいどうなるのか? 回想シーンのセーラー服姿は再び登場するのか? 再放送も充実しているのでチェックを!
(釣木文恵)