ところで彼の代表曲といえば、前出の『HOT LIMIT』や『WHITE BREATH』、『HIGH PRESSURE』など、90年代に発売されたものばかり。2010年代にも水樹奈々とコラボした『Preserved Roses』などのヒット曲もあるにはあるが、90年代の大ヒットソングを超す印象の作品はないのではないだろうか。
しかし、現在まで芸能界の一線で活躍している西川。なぜ、彼は約20年もの間、芸能界で生き抜くことができたのだろうか。
きっかけはダウンタウンの番組出演
その理由のひとつとして、西川貴教の歌手離れした、芸人並みのトーク力にある。そもそも、西川貴教の人気に火が付いたのは、ダウンタウンがMCを務めた音楽番組『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』に出演したことがきっかけ。
西川が元accessの浅倉大介と活動を共にしていたデビュー当時に、初めて番組に出演した際、松本と見事なコンビプレイを披露したのだ。松本の「若いんですよね」の問いに、「アイドルですから」と応え、西川が「ピチピチですから」とボケれば、松本が「弾けてる」と合いの手を入れると、西川がすばやく「巨乳です」と再びボケる。浜田からも「新しいコンビみたい」と絶賛されるほど、そのトーク力を見せつけたのだ。
バラエティでも大活躍する西川貴教
その後も番組内では、ダウンタウンと西川の絡みは名物になっており、西川が松本の誕生日に手作りケーキを持ってきて、浜田に「曲ないんか。喋りだけできたんか」と言われたり、西川が浅倉とともに真っ白な衣装で登場した際には松本に「君らこんな格好でネタできるんかい」とツッコまれたりと、ダウンタウンの二人から常にいじられていた。
それをきっかけにダウンタウンの番組には重宝され、『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』のみならず、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』、『ダウンタウンDX』など、多くのバラエティ番組などからもお声がかかり、その名を一躍、全国区に押し上げたのだ。
今では、自身の出身地である滋賀県のふるさと観光大使を勤め、エステーのCMでは「消臭リキッィ~」とユニークな姿を披露するなど、音楽の垣根を超え、マルチに大活躍している西川。
約20年もの間、関西ならではの軽妙なトークで、芸能界で生き残れるのは、アーティストでは西川の横に並ぶものはいないのではないだろうか。
(松庭直)
※イメージ画像はamazonよりARENA PLUS(アリーナプラス)(8)2016年5月号増刊