
あらすじ
「人は褒めた後に叩くの好きだからね」と、一ノ瀬は三輪を爆弾処理のヒーローに仕立て上げる。マスコミにも取り上げられ一躍時の人となった三輪を、地獄へ落とすべく一ノ瀬は、仕事をリストラされ妻と娘を失った男・一色祐一として近づく。
一歳の娘を失った三輪は、一色こと一ノ瀬に共感し、二人は居酒屋で意気投合。そこに一ノ瀬の弟子的存在の八尋(菊池風磨)が忍び寄り、携帯を盗んで少年が着替えている画像のデータを入れ、警察に届ける。これで一気に爆弾処理のヒーローから、盗撮魔へと真っ逆さまだ。
三輪宅で盗撮魔の真犯人を探す作戦会議をしていると、一ノ瀬を探しにニシナコーポーレション社長の隆(藤木直人)が訪れる。一色を名乗る一ノ瀬は、ここで隆と遭遇してしまったら完全にアウトだ。しかし、玄関に揃えられた靴を見て来客と察し、「一ノ瀬だったら汚れた安物の靴など履かない」と、イッタン退却。ここはリストラされた貧乏人・一色のキャラを作りこんだ一ノ瀬の勝利だ。しかし隆、仕事をしていないんじゃないかと疑うほど、どこにでも現れる。
その後、真犯人を探そうと一ノ瀬は三輪に張り込みをさせ、寝不足で判断力を奪う。
警察を振り切った三輪は、歩道橋の上から身投げをしようと試みる。そこにどこにでも現れる男・隆が駆けつけ、自殺は未遂に終わる。警察さえも見失った男を捕まえるなんてとんでもない嗅覚だ。そして隆は、三輪と一ノ瀬を会わせることで、一ノ瀬の正体を突き止めようと画策する。
一人目のターゲットだった五十嵐は、買春の常習犯。二人目の六反田は詐欺師まがいと、現在進行形の悪い奴だ。しかし、三輪は違う。少年時代の一ノ瀬への自白強要も、心臓病の娘の為にしてしまった事だった。30年間ずっと後悔していたのだ。
今までは視聴者スッキリ爽快復讐物語だったのだが、今回はそうではない。復讐する方とされる方、一体どっちが悪いのか、考えさせられてしまう内容だった。怒りに任せて復讐する一ノ瀬も怖かったが、良い奴を地獄に落とし少し悲しそうな一ノ瀬もゾッとする。
良い奴に助けられる復讐鬼
話を戻して、隆が一ノ瀬と三輪と楓(山本美月)を呼び出したシーン。隆は三輪に「この男は三輪さんの前で嘘の名前を語った。違いますか?」。ここで三輪が真実を語れば一ノ瀬は完全にアウトだ。今までの事がすべてバレてしまう。
三輪「長年、刑事の仕事をしてきた。例え服装を変え、名を変えようとも・・・」」
隆「では、やはり?」
三輪「いや、この人は違う」
なんて良い奴なんだ三輪。「長年刑事の仕事をしてきた・・・」これを言われた時、一ノ瀬はもう観念していただろう。しかし、その後の「この人は違う」なんて役者なんだ三輪。
三輪は隆の前であくまで初対面だという体を守るため、「こんな所に呼び出してすまなかった」と謝罪した。これに過去のあやまちを重ねて、泣きながら申し訳ないと何度も頭を下げた。
対して「誤解が解けて良かったです。俺嘘つきって呼ばれるの嫌いだから」と一ノ瀬。一体どう思ってるのだろう?復讐を遂げる事が出来て良かったと思っているのか?それとも、やりすぎたと反省しているのだろうか?いずれにしろ、初めて良い奴を陥れた事で、一ノ瀬復讐物語の幅がグッと広がったように感じる。
あれ?楓?
と、いうように過去の反省から三輪に助けられた一ノ瀬。これでめでたしめでたしっぽくなってはいるのだが、本当にそうだろうか?何かひっかかる。めちゃくちゃく良いシーンのように思えたが、一旦、登場人物の心の動きを整理してみようと思う。
隆→三輪に真実を聞いて、騙されてる楓の前で一ノ瀬の化けの皮を剥がそう。
一ノ瀬→三輪と知り合いだと隆と楓にバレたらすべての計画が終ってしまう。
三輪→過去の一ノ瀬に悪いことしてるし、知らない人だと言い張ろう。
再び一ノ瀬→ありがとう三輪。でも泣き過ぎだよ。初対面なのに勘違いで呼び出した程度でここまで泣かれちゃ不自然だよ。これで完全にバレちまったな。まぁ証拠を掴まれなきゃいいか。
再び隆→なんでこんなに泣いてるんだ?やっぱり一ノ瀬と何かつながってるんじゃないか。なんとかして尻尾を掴んでやる!これ以上一ノ瀬の思い通りにはさせない!
楓→一ノ瀬さんの疑いが晴れてよかった!
楓がピュア過ぎる。
今夜の標的はジュディ・オング。裏金五億を奪い取る話らしい。さらに一ノ瀬を楓に取られて嫉妬したハルカ(水原季子)が何かしでかしそうな予感だ。
(沢野奈津夫)