そのドラマとは、2001年4月期の日本テレビ系ドラマ『明日があるさ』。
吉本芸人たちが芸名のままドラマに出演
CMの設定がほぼそのまま引き継がれたドラマ『明日があるさ』は、主演のダウンタウン浜田雅功を始め、吉本興業の芸人が大挙出演した、笑いと涙が入り混じるサラリーマンの人情ドラマ。吉本のメンバーの役名は全員が芸名のままということも大きな話題となった。
90年代に数多くのドラマの主演を張ってきた浜田は元より、藤井隆やココリコ田中直樹ら一部芸人の演技力の高さも、視聴者の関心を集めている。
藤井は次のクールのドラマにも連続出演を果たし、後に主演俳優にまで成長。田中は同年の映画『みんなのいえ』で「日本アカデミー賞新人俳優賞」を獲得。現在も数多くのドラマで活躍中なのはご存知の通りだ。
今では当たり前となった芸人のドラマ進出も、このドラマのヒットが呼び水となっていると思われる。
主題歌は大ヒット!紅白にも出場!
吉本オールスターズ11人が結集した奇跡のユニット「Re:Japan」が歌う主題歌『明日があるさ』も大ヒットとなったのは記憶に新しいところ。
元々、CMではウルフルズがカバーした曲が使われていたが、ドラマに合わせて作詞を担当していた青島幸男自らが歌詞を追加し、12番まである編成に。1番浜田、2番ココリコ、と言った具合にそれぞれに見せ場を用意。ラストは全員のコーラスで締めくくっている。
オリコンシングルチャートの1位も獲得し、総計30万枚を突破。日本レコード大賞の話題賞も受賞し、紅白にはウルフルズとコラボの形で出演を果たしている。
ドラマの中で繰り広げられたダウンタウンのコント!?
このドラマの見どころは、やはりダウンタウンの共演だろう。
若手の頃はともかく、お笑い界のトップに君臨してからは、浜田主演の『竜馬におまかせ!』に松本が、松本主演の『伝説の教師』に浜田がゲスト出演したぐらいだ。
『明日があるさ』では、主演の浜田に対して松本の出番は毎回ワンシーンのみ。しかし、その存在感は抜群でドラマ本編を食ってしまうことも多かった。
松本の役柄はズバリ「謎の男」という設定。街頭ライブを行う演歌歌手、飲酒の検問をする警官、西川きよしの応援演説を受ける立候補者などなど、毎回クセのありすぎるシュールなキャラクターに扮して、浜田を困惑させる役回りである。
浜田との掛け合いはコントスタイルになっており、『ごっつえぇ感じ』の再現ともいえる世界観で、ドラマ内で異色のパートとなっていた。
松本的には、ダウンタウン揃ってのドラマ出演には抵抗があったという。視聴者がダウンタウンなのか役柄なのかに戸惑ってしまい、ドラマに感情移入しづらくなるからだ。
結果として、「松本が毎回どんなキャラクターで登場するか」は視聴者の興味を引き、視聴率に多大に貢献したと思われる。
初回視聴率は29%を記録!
話題性の高さは視聴率の直結したようで、ドラマは初回でいきなり29%を記録。週間視聴率No.1となり、平均でも19%の高視聴率を獲得。その勢いを買って、2002年10月には映画化もされている。
当時の吉本社長が「長く続くシリーズにしたい」と鼻息荒く語っていたが、興収的には5億に満たない惨敗。結局、シリーズ化は夢のまま終わってしまった。
平均視聴率19%は好成績にも思えるが、最後の3話の視聴率は15%台を推移。ということは、初回から半減していることになる。映画化の段階では、視聴者の関心はすでにかなり薄まってしまっていたのだろう。
宮迫博之、友近、山口智充、板尾創路などなど、吉本には演技派としてドラマに重宝されている芸人が数多く存在する。もし、続編が映画化されるのであれば、キャストには困らないのだが……。後はニーズがあるか、である。
※イメージ画像はamazonより明日があるさ THE MOVIE ― マイエナジーセレクトトラック (CCCD)