特に昔のPL学園野球部は凄まじかったらしく、OBの橋本清(元巨人)が『水曜日のダウンタウン』(TBS系列)で「PL学園野球部この世の地獄説」を唱えたほど。
実際に番組で紹介されていたエピソードを見てみると、「返事は『はい』『いいえ』のみ。しかし、『いいえ』を使うことは許されない」「目覚まし時計を鳴らしてはいけない。アラームがなる前の『カチッ』という音で起きなければいけない」など、衝撃的なエピソードが並んだ。
しかし、そんな上級生の指示が絶対であり、言われる前に求められたことを察しなければならない環境で高校生活を送っていると、良いこともあるらしい。
かつてヤクルトで活躍した元PL学園OBの宮本慎也は、自身の著書『意識力』において、周囲への気配りや目配りがかなり鍛えられたと言及している。
立浪和義の凄すぎる気配りとは?
しかし、そんな宮本の目からしても気配りが凄いと感じる人物がいるらしい。それは元中日ドラゴンズの立浪和義である。宮本とはPLの1学年先輩という間柄だ。
『意識力』にはそんな立浪が高校時代に見せた、気配りエピソードが紹介されている。
ある日、監督から「爪切りを取ってくれ」と言われた立浪。普通の人ならば、爪を切る刃の部分を自らの方に向けて渡すぐらいだろう。しかし立浪は、爪切りを事前に開いてから渡し、監督がすぐに爪切りができる状態にしていたのだという。
さらに引退後も立浪の気配りの凄さは変わっていないのだとか。
ゴルフのラウンド中、一緒に回っていた人に立浪がホットドッグを渡した時のことだ。立浪は自らの紙ナプキンの上にケチャップの上澄みとなる透明な汁を出し、ケチャップを適度につけてから渡したと語られている。
体育会といえども、ここまでの気遣いができる人は少ないのではないだろうか。
また、宮本は著書の中でこうした気配りが実際のプレーでも生かされると指摘している。宮本によると、気配りとは相手を観察する洞察力。これは試合中に、些細な相手選手の動きやベンチの様子に気がつき、次に起きるだろうプレーを予測することにつながるという。
そう考えると、PL学園での厳しい上下関係は名選手になるために一役買ったともいえるのではないだろうか。
※イメージ画像はamazonより立浪和義―立浪和義引退さらばミスタードラゴンズ (NIKKAN SPORTS GRAPH)