『世界に一つだけの花』『どんなときも。』などの名曲を世に残した、シンガーソングライターの槇原敬之。
そして『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』等の代表作で知られる松本零士。

そんな一流の実績を残す両者であるが、かつて泥沼の争いを繰り広げたことがある。

似ている? 槇原敬之の歌詞が大騒動に


2006年10月4日に発売されたCHEMISTRYの『約束の場所』。この楽曲は槇原が楽曲提供したものだ。
そして、『約束の場所』にはこんなフレーズがある。

「夢は時間を裏切らない 時間も夢を決して裏切らない」

傍からみると「良い歌詞だな」という印象で終わるが、これに大激怒したのが誰あろう、松本零士。
『銀河鉄道999』のセリフに極似しており、槇原は盗用したと主張したのだ。

ちなみに松本が主張するセリフは、『銀河鉄道999』エターナル編第一話の以下のフレーズだ。

「時間は夢を裏切らない 夢も時間を (決して) 裏切ってはならない」

槇原敬之の"抗議文"「態度は大変不快」


松本が抗議していることを2006年10月19日発売の『女性セブン』が報じ、騒動が明るみとなった。

しかし当初、松本は騒ぎを大きくする予定はなかったようで、当時の日刊スポーツ(06年10月26日)は、 次のように報じている。
「双方は25日、ともに収束させる姿勢を打ち出した。盗作ではないと主張する槙原側がこの日、弁護士と相談して、自分側から法廷闘争などに持ち込まない方針を決定。松本さんも『もともと著作権を争うつもりはなく(歌詞は)私の作品のセリフだと主張したかった。これで終わりにしたい』と話した」

だが、翌11月に事態は急変する。
槇原が自身のホームページにて、かなり語気の強い抗議文を掲載したのだ。
コメントを要約すると、「『銀河鉄道999』は一度も読んだことがない。歌詞は全くのオリジナル。盗作と考えるなら、正々堂々と裁判で決着していただきたい。松本氏の一連の態度は大変不快」といった内容であった。

これに対して松本も、「裁判で争う気は毛頭ないが、提訴されたら受けてたつ」と応じ、真っ向から対立することとなる。

裁判の末に和解成立


そして2007年3月、槇原は松本側に対して、盗作を主張する上での証拠を示すことを求めて東京地裁に提訴。
翌08年の12月、東京地裁は「2人の表現が酷似しているとは言えない」と著作権侵害を認めない判決を出した。その上で、松本のテレビ番組での発言を名誉毀損と認め、220万円の損害賠償支払いを命じる判決を下した。(後に後双方が控訴)。

両者の和解が実現したのは、控訴審が開かれた2009年11月26日。松本が槙原に謝罪することで和解が合意。
お互いが握手をしたという。

訴訟にまで発展したが、最終的には無事に話し合いで解決したのだった。

※文中の画像はamazonより槇原敬之の本。
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