
1話あらすじ
博物館の技術補佐員として働き出したばかりの館脇正太郎(藤ヶ谷太輔)は、日本に数名しかいない骨格標本を組み立てる「標本士」九条櫻子(観月ありさ)の元へ向かわされる。櫻子は博物館から組み立てを依頼されていた骨を入れたトレイを手にし、この骨の発見場所に連れて行けと正太郎に要求する。
推理物は主役
推理物は主役が大事だ。犯人と頭脳勝負を行い、時には人生相談まで受けるのだから魅力がなくては人気も出ない。よっぽどの推理マニア以外の視聴者は、事件の謎解きと同じぐらい主人公の名探偵や刑事を重視しているはずだ。
そしてその主人公は、個性が強い場合が多い。「古畑任三郎」「ケイゾク」「相棒」最近では「IQ246」などもそうだ。常人離れしたしゃべり方、癖のある言動、風貌など、とにかく大きな特徴を持っている。その結果、やりすぎて視聴者から拒絶される事も多々ある。まぁ、馴れてしまえばたいがい「癖があって面白い」に覆るのだが。
そこでその個性を付けるのに手っ取り早い方法が「キャラクターをつける」事だ。これは上記の様に“頭が良すぎて奇人に見える”という訳では無く、単純に名刺になるような肩書きのことだ。
キャラクター×探偵
変わった職業、趣味、立場などの人物が探偵に扮して事件に挑むといった形。この“キャラクター×探偵”が今クールはなぜか多い。
“キャラクター×探偵”の特徴はやはり謎の解き方。そのキャラクターならではの方法で推理を行う。「貴族探偵」なら貴族らしく召使い達に推理をさせる。「マッサージ探偵ジョー」ならマッサージをして身体の情報を読み取り、そこから犯人を推理する。過去には現場に残っていた料理を食べて推理する「喰いタン」というものもあった。このキャラクター特有の推理方法が意外性を生む。つまり、IQが180もある金田一はじめとは違う方法で謎を解く姿にこそ、“キャラクター×探偵”の面白みがあるのだ。
そして本作品の主人公・九条櫻子(美月ありさ)は、日本に数人しかいない骨の標本師。遺体の骨の状態から様々な事を推理する。例えば第1話だと、遺体の歯がピンクに染まっていた。
櫻子さんと、いろいろな探偵の決めセリフ
探偵物の注目所の一つに決めセリフがある。「名探偵コナン」の「真実はいつも一つ」や、「金田一少年の事件簿」の「じっちゃんの名にかけて」、「シャーロック・ホームズ」の「初歩的な事だよ、ワトソン君」などが有名だ。
“キャラクター×探偵”だと、「マッサージ探偵ジョー」の「事件の謎がほぐれました」。五感のうち視覚しかない「視覚探偵 日暮旅人」は「僕・・・・・・視えるんです」。「時効警察」は「これからあなたにお話しするのは、あくまで僕の趣味の捜査の結果です。事件そのものは時効ですから、たとえあなたが犯人でも僕がどうすることでもありません」と、決めセリフで全部説明するものまである。
そして櫻子さんは「全ての骨が繋がった」だ。小難しい事を言った後にこういうわかりやすい事を言ってくれると、見ている方が安心する。“キャラクター×探偵”の決めセリフは、すごくカッコ良いものよりも、ちょっとバカっぽく見えるぐらいが丁度良い。
他にも櫻子さんは決めセリフらしきものを1話のうちに使っている。ヒントを探しに行く時は、「では、事件の骨集めと行こうじゃないか」、証拠が足りない時は「骨がまだ足りない」。全部で3つだ。少し、多い気がする。
決めセリフとは、世界観から不自然に浮いてしまうもの。ずっと普通にやっていたのに、カメラを意識して間も完璧にそのセリフを放つのだから仕方ない。だからこそ、ここぞという時に使うと「出たーーーー!!」という気持ちになる事が出来る。ふとした時に出る口癖ならともかく、決めセリフは、1話につき1回くらいが丁度良い。
第2話の予告では、土下座の様な姿勢で死んでいる衝撃的な遺体が登場。人体大好き櫻子さんには、うってつけの事件が巻き起こりそうだ。
(沢野奈津夫)