
結婚式のご祝儀から逃れられる「会費制」に注目が集まっている。会費制なら、3万円未満で参加できることもある。
ご祝儀3万円は「明るいカツアゲ」の声
小学館のデジタル大辞泉によれば、「祝儀」とは「祝意を表すために贈る金銭や品物」となっている。結婚式のご祝儀は、いつからか「3万円」で祝意を表すというのが常識となったが、不景気傾向が続く中、内心「しんどい」と感じる人は多い。
しかし3万円を切ると招待してくれた相手の印象を下げるし、お祝いの気持ちも伝わりくい。多くの人が「3万円高すぎない?」と疑問に思いながらも、額は下げられないのが現状だ。
ネット上では一時期、「ご祝儀は明るいカツアゲ」という表現に注目が集まり、多くの人々の共感を得た。
北海道さながらの「会費制」サービスがぞくぞく

このご祝儀3万円問題、北海道地方などに限って、蚊帳の外であることはよく知られている。北海道では、昔から「会費制」が根付いており、今でもほとんどが会費制結婚式なのだそうだ。基本的にご祝儀は不要で、会費を1~2万円くらい持参して会費として支払うのだという。
こうした会費制結婚式をあっせんするサービスが都内でぞくぞく登場している。そのサービスの一つ「会費婚」を運営しているアールキューブの広報担当大和まゆさんに、会費婚とはどんなものなのか聞いてみた。
そもそも、会費制を選ぶカップルは、やはりご祝儀に疑問を持っているケースが多いのだろうか。
「結婚式=御祝儀『3万円』は当たり前なので、どちらかというと『本当に会費でもできるんですか?』という疑問を持っていらっしゃる方が多いです。会費は北海道では当たり前の文化なので、北海道出身の新郎新婦様もいらっしゃいます」
会費制を選ぶ主な理由2つ
なぜこの会費制が選ばれるのだろうか。「会費婚」における状況を聞いてみた。
1.ゲストに負担をかけたくない
「これが一番多いです。今まで参加した結婚式は、どれも御祝儀制だったものの、実際はご祝儀3万円+二次会(7,000円~9,000円)+ヘアセットやドレス(女性の場合:3,000円~15,000円)などを含めれば、参加するだけで合計約5万円近くお金がかかります。
結婚式自体はおめでたいことのはずなのに、招待状が届くと『うぉ。』と思うのが本心だったりします。だったらゲストに負担をかけずに結婚式を開き、気軽に来てもらいたいと思う新郎新婦が増えているのかと思います」
2.引き出物は正直いらない
「『引き出物っているの?』と疑問に思うお客様も多いです。バスタオルやお皿、カタログギフトはもういらないよね…と。結婚式の時期は重なることが多いので、家にたくさんのバスタオルやお皿が増えます。昔のように、名前の入った二人のグラスは正直いりませんし、男性はバームクーヘンをもらっても食べないですよね。
もちろん引き出物には意味がありますし、来てもらった御礼としても大切ではありますが、会費制は基本、引き出物がなくてもOK。このように、引き出物がなくてもお客様の満足度が下がることがないというのも、会費制が選ばれる一つの理由になっています」
ご祝儀制のデメリットと会費制のメリット
とはいえ、ご祝儀制に慣れていると、「会費制ってどんなの?」と気になるところもある。会費制にはどんなメリットがあるのか。ゲスト側、新郎新婦側それぞれのメリットを教えてもらった。
●ゲストメリット
1.「いくら包もう…」問題に頭を抱えなくていい
「ご祝儀は、基本は3万円ですが、その時の経済状況や新郎新婦との関係性によっても『いくら包もう…』と、必ず一度は悩むと思います。しかも3万円が入っていないと『こいつ2万だったヤツ』として新郎新婦に意味も分からないレッテルが貼られます。おめでたい席なのにも関わらず、友人関係にヒビが入りやすい一大事です。
会費制であれば金額が決まっているため、頭を抱えることも、友好関係にヒビが入ることもありません」
2.費用負担の軽減
「会費制の場合は会費(着席フルコース会費相場:15,000円~20,000円)を設定するため御祝儀制の結婚式と比較すると約1万円浮きます。お祝い事ですが、1万円は正直大きいです。二次会に参加したとしても1万円以内に収まることが多いため、お財布にも優しいですよね」
3.ご祝儀袋・ピン札が不要
「ご祝儀制の場合は、ご祝儀袋を購入し、ピン札を入れるのがマナーです。ご祝儀袋を買い(100円~800円)、筆ペンを買い(200円)、ピン札用意のため銀行に行く(プライスレス)となると、ご祝儀を持っていくだけでも労力がかかります。
一方、会費制の場合は、お財布から直接現金を出せばOKですし、ピン札でなければならないなどは、特に決まっていません。それでマナーが悪いともならないため、ご祝儀と比べて面倒なことがありません」
●新郎新婦メリット
「ご祝儀の場合は、世間一般的には3万円といわれていますが、実際は、ご祝儀袋を開けてみると、2万円や1.5万円しか入っていない場合もあります。
新郎新婦も3万円×人数で予算を組むので、だいたいは自分たちの自己負担を見積もると思うのですが、当日、蓋を空けてみたらご祝儀からだけでは全然足りなくて、自己負担金額が大幅に上がるということもあります。
会費制であれば、2万円×人数は確実に入るので、それに合わせて自分たちの自己負担を前もって計算しやすいメリットがあります」
会費制結婚式は、金銭面、人間関係の面で、負担が減る。なにより『こいつ2万だったヤツ』というレッテルを貼られないで済むことに安心する人もいるはずだ。
(石原亜香利)
取材協力
「会費婚」
新郎新婦の自己負担5万円と、参列者の会費で結婚式を挙げることが出来る新しいウェディングサービス。結婚式に必要な物が全て最初から入っているパッケージプランのため明朗会計でわかりやすく、参列するゲストも会費(15,000円~20,000円)で参加出来る。
https://www.kaihikon.com/