
皆さんはいわゆる「縁結び神社」へお参りしにいったことはありますか? 好きな人と結ばれるため、あるいは志望校に入るための縁を結んでもらえるように、そうした神社で願掛けを行ったという経験、意外とあるのでは?
今回扱う神社は、そういったものとは正反対。すなわち「縁結び」ならぬ「縁切り」神社なのです。
しかし、縁を切ってしまう神社だなんて、なんだか少々ホラーめいているというか、怖い感じがしますね。ひょっとすると、霊体験が多発している心霊スポット的な場所なのかも……。ですが、それは行ってみなければ分かりません。ちょうど縁を切りたいものもありますので、勇気を出してチャレンジしてみました。
京都の街中に縁切り神社

大阪府民になじみ深い「おけいはん」こと京阪電車に乗り、向かうは京都府清水五条駅。繁華街である祇園四条から少しだけ離れた場所です。

このあたりはいつも観光客でいっぱい。有名なグルメのお店やスイーツショップも軒を連ねています。果たしてこのような場所に縁切り神社なんてものがあるのでしょうか。

……あった!
人が行き交う道の中にポツリと、まるで取り残されたかのようにその神社がありました。
その名は「安井金比羅宮」。鳥居前の立て札によれば、大物主神(おおものぬし)、源頼政、そして崇徳上皇を鎮守としているそうです。崇徳上皇と聞いてピンときた方は歴史好き、あるいはオカルトマニアではないでしょうか。
崇徳上皇は弟であった後白河天皇と争った結果敗れ、讃岐(現在の香川県)に配流されてしまった悲劇の人物。しかし、一方では生きながらにして天狗と化し、菅原道真や平将門と並ぶ日本三大悪霊の一人になったとも言われています。
そんな崇徳上皇が守り神として鎮座しているからこその縁切り神社なのか分かりませんが、何やらただならぬ場所である予感がしてきました……!
意外と開放的だった

と、意気込みいさんで鳥居をくぐってじゃみたものの、最初に目にしたのは駐車場のポール。その奥にはたくさんの車と観光客が。どうやら安井金比羅宮、れっきとした観光スポットとして高い人気を誇っているようです。

この神社にはたくさんの著名人が訪れているらしく、彼らが奉納した絵馬も展示されていました。ざっと目にした限りでは、桂米朝(落語家)、キダ・タロー(音楽家)、横山やすし(漫才師)、小松左京(SF作家)、荻昌弘(映画評論家)、大友柳太郎(俳優)の名前が。多くの人々に親しまれている場所なんですね。

そして、中央にそびえる奇妙な石が「縁切り結び碑」。ある手順を踏んだ後、この石に願いごとを書いた札を貼ることによって、それを叶えてくれるとされています。
願掛けにチャレンジしてみた
せっかく訪れたので、ここはひとつ札を書いてみることにしましょう。

まずはお賽銭にお金を入れてください。金額は厳格に定められていませんが、100円程度でよいとのことです。お金を入れずに札を取ったりなんかしたら、バチがあたるかも……。

札に書く願いは「切ってほしい縁」と「結んでほしい縁」のふたつ。たとえばパワハラをしてくるAさんとの縁を切り、片思いしているBさんとの縁を結んでほしい場合には「Aさんとの縁を切って、Bさんとの縁を結んでください」と書きます。とはいっても書き方は特に定められていないので、自分の好きなようにしましょう。
また、「縁」の対象となるのは人でなくてもかまいません。たとえば「お金との縁」や「よい会社にめぐりあえる縁」でもよいのです。

私はこのように書きました。乗り物酔いに弱いのと、もう少し貯金に余裕がほしいので、ちょっと控えめに。
さて、いよいよ縁切り結び碑に願いを掛けます。そのためには、この石の中央下部にぽっかりと空いている穴をくぐらなければなりません。

小さな穴ではありますが、くぐれないほどではないのでがんばりましょう。周囲の目を気にしてはいけません。

くぐり終えたら、札を碑に貼りましょう。
さらに強力な効果を得たい方は、絵馬を描いて奉納するのがいいでしょう。しかし、ほぼ必ず人に見られてしまうので、あまり個人情報は書かないように。
札を貼った後、ある絵馬の周りにちょっとした人だかりができていたのですが、そこには「○○が事故に遭って二度と幸せな生活が送れなくなりますように」といったきわめて恐ろしい内容のものが。やはり縁切り神社、こういったお願いをする方もいらっしゃるようですね……。
何かと縁を切りたい方はぜひ
というわけで、縁切り神社として有名な安井金比羅宮でした。どうしても断ちたい縁がある場合は、ここで願掛けをしてみるのもよいのではないでしょうか。
でも、あまり物騒な願いごとはしない方がいいかも。「人を呪わば穴ふたつ」ということわざもありますしね。
(かるめら)