第13週「ビートルズがやって来る」第75回 6月28日(水)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:田中正

75話はこんな話
茨城の宗男(峯田和伸)から届いた「ビートルズ ガ ヤッテクル」という電報が、みんなに楽しい風を運んで来た。
しずちゃん登場
導入部のテンポ良い。
宗男の電報から、ジャン!と、ヤスハル(古舘佑太郎)のギターで、いつものタイトルバックへ。
73、74話と、またまた連続、視聴率20%超え。最近、「ひよっこ」が上向いて来ている。
75話は、ビートルズが来日するという報が新聞に大きく載って、日本中が騒然とする中、茨城で、「いても、たっても、いられんねえ」3回繰り返す宗男の元に、奥さん滋子(南海キャンディーズのしずちゃん)がやっと現れた(これまでずっとイメージシーンだけだった)。
滋子はちょっとこわいが、宗男の大切な場所(ビートルズだらけにしてある納屋?)を眺め、「ビートルズはイギリスか・・・」とつぶやいたとき、ただの鬼嫁ではない顔を見せる。
宗男にはイギリスに何か特別な想いがありそうと、ナレーション(増田明美)も示唆する。
戦争のとき、日本はイギリスと闘っているのだけれど・・・。
ひとりだけ違うもの食べてる人あるある
鈴子(宮本信子)の提案で、中庭で、あんみつを食べながら、すずふり亭、柏木堂、福翠楼の人たちでおしゃべり。
ヤスハルだけ甘いものが苦手なので、ところてんを食べているところから、ひとりだけ違うもの食べてる人あるあるの話題になり、そこからビートルズとーくに。
突如、4人(省吾、井川、一郎、五郎)でコーラス。黒沢明とロス・プリモスの「ラブユー東京」(66年)。
ヒデ(磯村勇斗)は加山雄三の「君といつまでも」を時々、歌っていることが暴かれる。
その間、ヤスハルが何か言いたそうにしていて、それに気づいて、代わりに言う、親ばかな一郎(三宅裕司)。
ヤスハルはビートルズについて「音楽の革命」だと言いかけるが、みんなに話をもっていかれてしまう。
これもひとつの、会話あるあるだろう。言いかけた話しをとられてしまうこと。ヤスハルがずっと、この輪にはいっていけず、なんとも言えない顔をしているのが印象的だ。
名台詞たくさん
「真似からはじまって、日本流に自分たちでやっていけば、いつかそれがホンモノになるんだよ」(省吾)
「ふだんおちゃらけているけど、いざというとき、いいことを言う人になりたいのよ」(一郎)
「いつの時代でも若い女の子が夢中になるものはホンモノなんだよ。女の子はね、いいものを嗅ぎ分ける力をもってるのよ、理屈じゃなくてね」(鈴子)
省吾の名言を、一郎がうらやましがり、鈴子がさらに名言を重ねる流れ。
これらをまとめて、勝手に名台詞の収蔵庫に収蔵決定です!
合わせて、「いい男に国境なんかないわよねえ〜」 安江(生田智子)のこれも加えたい。
「そうやって今と同じ会話が日本中のどこかでかわされているんだろうねえ」
その後の、あかね荘の炊事場トークでの、早苗(シシド・カフカ)のこれ↑も名台詞の収蔵庫に収蔵したい。
同じ会話とは、リンゴ(・スター)の発音について。ゴを下げたら果物、上げたら人物。
早苗はビートルズでは、リンゴ・スターが好き。
島谷(竹内涼真)は、ビートルズよりクラシックのほうが好きだが、「イエスタデイ」はとても美しいと思っている。クラシック好きとしては、弦楽四重奏が使われているところに惹かれたのであろうか。
男が、去って行った恋人のことを歌っているが、それだけじゃなく、すべてのことに通じる、と説明する島谷。
「悲しいことは突然やってくる」という歌詞は、みね子の父の話を想起させてしまう。
「イギリスの人なのにわたしの気持ちもわかってしまうんですね」とみね子。
「ラブユー東京」も、去ってしまった人を想った歌であった。
すずふり亭とあかね荘の二段構えで、楽しいおしゃべりの15分。とくに何も起こらないが、気づいたら、顔がほころんでいた。肩の力を抜いて見られるドラマってとてもいいと思う。
視聴率も上がってきているし、この調子、この調子。
(木俣冬』