“昭和40年生まれの男性限定情報誌”という独特のスタンスを持つ隔月刊誌『昭和40年男』8月号の特集は「俺たちのゲーム体験」。
「魚雷戦ゲーム」「ブリップ」「LSIベースボール」と来て「昭和40年代男」大興奮、俺たちのゲーム体験

書店で遠くからタイトルを見たときは、「ああ、はいはい、またファミコンソフトの話とかコンピューターゲームの歴史の話ね」とつい思ってしまった。
ウェブでそういう記事をよく目にするからだ。

しかし、表紙をよく見て驚いた。なんとデカデカと写っているのはエポック社の「魚雷戦ゲーム」! 小さな鉄球を発射して標的の戦艦型のコマを撃沈させるゲームだ。昭和47年生まれの筆者の家には1976年発売の5代目があった。いやぁ、死ぬほど遊んだね!

そう、この「俺たちのゲーム特集」は、一世を風靡した「野球盤」から、数々のプラスチック製アクションゲーム、デジタルとアナログの転換期に登場した“エレメカ”、ハンディなLSIゲーム、そしてゲームウォッチまでのゲームの大特集なのだ。めちゃくちゃ懐かしい!(昭和40年代生まれ男にとっては)

野球盤! 沈没作戦ゲーム! パーフェクション!


圧巻なのはビジュアル。よくぞここまで美麗な品を集めたものだと感心するしかない。
「野球盤」のような定番ゲームも、磁石で自動的にランナーが動く「電動野球ゲーム」(バンダイ)や球が宙を飛ぶ「ゴーゴーベースボール」(ミウラ)などの珍品まで紹介されている。

70年代に大流行したボウリングをゲーム化した「パーフェクトボウリング」(エポック社)の紹介では、バージョンごとにピンセットの方法を分解写真で解説。ほかにもスポーツゲームとして、サッカーゲームのような大ヒットしたものから、「大相撲ゲーム」(タカラ)、「アイスホッケーゲーム」(エポック社)などを網羅。「ニューバスケットゲーム」(エポック社)はどこかで遊んだことあるぞ。

駆け引きしながら自分の色のボールだけを中央のゴールに入れる「沈没作戦ゲーム」(タカトク)は、たしか友達の家にあった。かなり遊んだはずだが、この特集を見るまで存在そのものを忘れていた。


タイマーをセットして制限時間以内に26種類のピースを同型の穴にはめ込まないとピースがすべてはね飛ぶという「パーフェクション」(エポック社)も「あった、あった!」と思い出したが、実際に遊んだかどうかまでは記憶が曖昧だ。ひょっとしたらCMの印象が強いだけなのかもしれない。家庭用バッティングマシン「ウルトラマシン」(任天堂)も友達の家にあったような気がする。当時はたくさんのゲームを買ってもらうことなんかできなかったので、友達の家をローテーションで回って遊んだものだ。

携帯ゲームといってもスマホではなく、プラスチック製の「ポケットメイト」シリーズ(トミー)も懐かしい。家には「フィールドアスレチック」があったが難しくて頭がどうにかなりそうだった。


独自路線を歩んだ任天堂のアナログゲームの特集もある。銃口から出る光がさまざまなターゲットに当たるとアクションを起こす「光線銃SP ガン」「光線銃SP ライフル」シリーズ、パズルゲームの「ハチの巣ゲーム」、立体的なアナログゲーム「荒野のガンマンゲーム」などが紹介されている。

任天堂で独特のゲームを開発し続けた横井軍平に関する記事では、実際に本人たちが率先して悪ふざけのような遊びをしていたことが綴られている。男女がテスターの端と端を握り、お互いの手を握ってスイッチを入れると愛情度がわかる「ラブテスター」の説明書には「キスをしながら測定すると、水分が多くなるので愛情値が高く表示されます」と書かれていた。当時の山内溥社長は外出先から「おい! キスしても愛情度が変わらないじゃないか!」と怒りの電話をかけてきたという。さすが。


アナログでデジタルを表現する「エレメカ」


インベーダーゲームがブームになると、ハンディだが電子ゲームが登場するが、ちょっと高価で子どもたちにはなかなか手に入らない。そんな折、人気を集めたのが“アナログでデジタルを表現する”家庭用エレメカだ。

代表的なのが「ブリップ」(トミー)と「ブラックレーサー」(トミー)。前者はLEDの光を3つのボタンで打ち合い、後者はフィルム上のライバルカーをハンドルで避けるものだ。実際はゼンマイ駆動だったりするのだが、黒基調のシャープなデザインなどがデジタル感を演出していた。

国産家庭用テレビゲーム機第1号の「テレビテニス」(エポック社)を皮切りに、さまざまなメーカーからテレビゲームが発売されたのは70年代後半のこと。
筆者もファミコン以前にいとこの家でテニスゲームを遊ばせてもらった記憶がある(どのゲーム機かは不明)。

そして70年代末になると、ハンディなLSIゲームが登場! 筆者が持っていたのは定番ゲームの一つ「LSIベースボール」(バンダイ)。投手は4種類の球を投げ、打者はタイミングよくボタンを押す。うーん、30年前に遊んだきりだけど、電子音もまだ覚えているぞ。ライバル機の「デジコム9」(エポック社)も大ヒットした。

LED式インベーダーゲームの「ミサイルインベーダー」(バンダイ)、黄色いボディの「パックマン」(トミー)、独特の形をした「平安京エイリアン」(学研)、カラフルなエイリアンが動く「スーパーギャラクシアン」(エポック社)も憧れだったけど、すぐに「ゲームウォッチ」の時代になだれ込んだんだよなぁ……。


プラスチックのアクションゲーム、エレメカ、LSIゲーム、「ゲーム&ウォッチ」が数百以上紹介されているので(数えてないけど)、当時遊んでいた男子たちは間違いなく懐かしい気分になれるはず。この記事より、写真つきで見たほうが絶対に楽しいよ! ずうとるびやH2Oのインタビュー記事、デヴィッド・ボウイ特集やデジタル多機能腕時計の特集もあり。

(大山くまお)