現在、NHK・BSプレミアムで毎週水曜よる11時から往年の人形劇「プリンプリン物語」が再放送されている。先週(7月19日)は第5話と第6話が放送された。

「プリンプリン物語」ランカーのプリンプリンに対する執心ぶりは尋常じゃない、事件の匂いがする
友永詔三監修『NHK連続人形劇 プリンプリン物語 メモリアル・ガイドブック』(河出書房新社)。今回の再放送とあわせてチェックしたい一冊

連れ去られたプリンプリンを追う少年たち


その前週に放送された第3話・第4話では、主人公のプリンプリン(声:石川ひとみ)が、ボンボン(神谷明)、オサゲ(はせさん治)、カセイジン(堀絢子)の3人の少年と出会う。彼らは、プリンプリンがテレビで自分はどこかの国の王女だと告白するのを聞き、一緒に彼女の祖国を探してあげたいと思って会いに来たのだ。

他方、同じくテレビを見ていた死の商人ランカー(滝口順平)が、プリンプリンに一目惚れしてしまう。どうにか彼女を自分のものにしたいと思ったランカーは、子分のシドロ(パンチョ加賀美)とモドロ(猪熊虎五郎)に誘拐してくるよう命じる。ハンバーガー屋に変装したシドロ・モドロは、プリンプリンを誘い出し、ヘリコプターでランカーの別荘まで連れ去るのだった。

そして第5話。プリンプリンが連れ去られたことを知ったボンボンたちが、彼女の行方を追う。ここでこの回の冒頭に出てきたテニスコートのライン引きが役に立つ。プリンプリンの相棒である猿のモンキー(斎藤隆)が、ライン引きを持ってヘリコプターに飛びついたおかげで、ヘリの進路に沿って地上に線が引かれたのだ。ボンボンたちはそれをたどって、プリンプリンが連行された別荘を突きとめる。ライン引きという何気ない小道具がうまく使われているのが面白い。

さて、別荘に連れ去られたプリンプリンだが、ランカーからは意外にも丁重なもてなしを受け、ベッドもごちそうも用意された豪華な部屋を与えられる。しかし窓には鉄格子がはめられ、外へは出られないようになっており、事実上の軟禁状態。
そこからどうプリンプリンを救い出すか。少年たちは考えた結果、まずオサゲが、名前どおりのお下げ髪を生かして女装し、侍女として別荘に潜入することになる。

ランカーの執心ぶりに「ゾゾゾーッ」と引くプリンプリン


それにしても、ランカーはどうしてそこまでプリンプリンに魅かれたのか。6話では、これについてランカー自ら打ち明けた。貧しい環境に生まれ育ったランカーは、苦労の末に、国際的な武器の売買で莫大な財産を築いた。だが、その出自に引け目を感じている彼は、どこかの国の王女であるプリンプリンと行く行くは結婚することで、一国の王になろうとたくらんだのだ。

とはいえ、ランカーのプリンプリンに対する執心ぶりは、彼女の写真やポスターを壁中に貼りまくるなど、ちょっと尋常ではない。プリンプリンを豪華な部屋に閉じこめて独り占めしようとするにいたっては、後年のさまざまな事件を思い起こさせる。6話では、秘書である妙齢(?)の女性・ヘドロ(真理ヨシコ)からいきなり告白され、ランカーが拒絶するシーンもあったが、どうやら彼は立派なロリコンらしい。もっとも、そんなランカーの思いに当のプリンプリンはドン引きしてしまい、「ゾゾゾーッ」とつい口に出してしまうのが妙にリアルだ。

中年男になった身からすると、ランカーに同情しないこともない。しかしプリンプリンの意思は無視し、自分の思いだけを押しつけ、あまつさえ部屋に閉じこめてしまうのは、あきらかな人権蹂躙であり、許すまじき行為だろう。

6話は、オサゲに続き、ボンボンとカセイジンも、ランカーのもとへ取材にやって来た花のアナウンサー(つボイノリオ)のアシスタントとなって、別荘に潜りこむところで終わった。
はたして彼らは無事にプリンプリンを助け出すことができるのか? 今夜放送の7話・8話も見逃せない。

最終回までに何年かかるのか?


ところで、6話の冒頭では、これまでのあらすじが紹介されていた。6話にして早くもあらすじ紹介とは、ひょっとして脚本が遅れたのか? と失礼にも思ってしまったのだが(アニメなどでは、制作がまにあわないと総集編でその場をしのぐということがたまにある)、よくよく考えてみると『プリンプリン物語』は本放送時は週5回の放送だったので、6話は本来、第2週の最初の回であることに気づいた。たしかに週明けの放送で前週のあらすじを紹介するのは、朝ドラでもおなじみだし、何も不自然なことじゃないですよね。脚本の石山透先生、疑ってごめんなさい!

ちなみに『プリンプリン物語』は、1979年から82年まで足かけ4年にわたり全656回が放送された。ひるがえって今回の再放送は、それを週1回、2話ずつ放送していくというゆっくりペース。一体、最終回までには何年かかるのやら。番組の主題歌の文句ではないが、まったくもって「どこまで行っても話がある~」、である。
(近藤正高)

【追記】コメント欄でもご指摘いただきましたが、今回の再放送は開始当初の時点で50回までの放送が決まっており、「どこまで続くかは皆さんの反響しだいです」とNHKのサイトではアナウンスされています。ただし、一部、VTRの見つかっていない回もあるため、現在も発掘活動が継続中とのこと。今後の展開を期待しましょう。
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