テレビ業界において視聴率が思わしくないと、番組内容を大幅にリニューアルすることは今も昔もよくあります。いわゆる「テコ入れ」というやつです。


近年「テコ入れ」で視聴率的な成功を収めた例というと、シンプルな対談番組から、○○芸人しばりのコンセプトトークバラエティに変貌した『アメトーーク!』や、「DASH村」以降、急速に農業番組化していった『ザ!鉄腕!DASH!!』などが挙げられます。

このように、これまでさまざまな番組が人気獲得のために改変されてきたわけですが、本稿で紹介する『姫TV』ほど極端なリニューアルを施された番組は、過去振り返ってもなかなか存在しないのではないでしょうか。

普通のガールズトークを放送していたが……


『姫TV』は1988年から1993年にかけてテレビ朝日で放送された、土曜・早朝4時台のバラエティ番組。スタート当初は「男子禁制番組」とされていました。
男子を排除して、いったいどんなプログラムが繰り広げられていたのかといえば、女性タレント同士がファッションや恋愛について語り合うというもの。今でいう、女子会的内容です。

こうした早朝にふさわしい(?)ユルめな雰囲気をウリにしていた『姫TV』でしたが、放送開始の翌年にあたる1989年、突如として180度の方向転換が図られます。山も谷もオチもないガールズトークなどは一切廃止。代わりに番組へ持ち込まれたのは、純度100%のエロ企画でした。

意味不明だったオープニング映像


エロ番組に生まれ変わった『姫TV』は、オープニング映像からかなりエッジが効いていました。ロウソクやバラ鞭をもって妖艶に踊るSM嬢がワンカットで映し出され、そのあとに、雪降る夜道でへたり込む花魁が登場。その背景には、以下のような言葉が次々と浮かび上がります。

僕は、無類のスケベかもしれない。
人前での明るさは嘘かもしれない。

今まで人を愛したことがないのかもしれない。
昨日の僕の方が幸せなのかもしれない。
今のままじゃいけないのかもしれない。

そんな僕だから 姫TV。

哲学的っぽい自問自答を繰り返した挙句に、突然タイトルコールにもっていく強引さ……。なんでもアリだった昔のテレビならではの、不明瞭さ・シュールさを感じさせるOPではないでしょうか。

全裸姿がカメラに……伝説的な企画とは?


このような謎めいたOPの後に始まるのは、伝説的低俗企画「クイズタイム小学生」です。これは、当時テレ朝で放送されていた『クイズタイムショック』のパロディ。

ルールとしてはまず、全裸の女性が身体の大事な部分を隠したパネルの後ろに立ちます。問題は13問。すべて小学生レベルのクイズです。7問答えられればブランドモノの時計などをもらえるのですが、答えを間違える度に1枚パネルが外されていきます。
パネルがすべてなくなると、チャレンジ失敗。そして、全裸姿がカメラに映し出されるという仕組みになっていました。

シンプルながらも強烈なインパクトを誇ったこの「クイズタイム小学生」により、一躍『姫TV』は人気番組となります。当時、眠い目をこすりながら、早朝4時の放送を今か今かと心待ちにしていた殿方は多かったのです。

しかし、当然ながらこうした過激な番組内容は批判の対象となり、1992年秋に再びリニューアルが敢行されます。その後視聴率の低下を招き、1993年、番組はひっそりと終了していったのでした。
(こじへい)
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