
5話あらすじ
ついに売りに出されたことが確定した銀座一のクラブ「ルダン」。売値は3億円。
銀座で一番のママになるためにルダンを手に入れたい元子は、予備校理事長・橋田常雄(高嶋政伸)に狙いを定めた。雇っているホステスの島崎すみ江(内藤理沙)を使って、橋田から料亭「梅村」を奪い、2億5000万円を手に入れる算段をつける。
元子と叡子、どっちの味方をしたいか?
叡子「けっこう繁盛してるって聞いているけど。“銀座で一番若いママの店”?」
元子「結局、男の人って“若い女性”が好きなんですよね。特に、若くてものを知らない、都合の良い女が」
元子が派遣ホステスとして働いていたクラブ「燭台」のママ・岩村叡子(真矢ミキ)。カルネへの良い評判をやっかむような叡子の言い方に、元子も反撃してしまっていた。
あんまり余計な敵を作らない方がいいのでは、と心配になるが、何か考えあってのことなのか。それとも、クラブ「ルダン」や、5000万円を奪い取った楢林(奥田瑛二)のことについて詮索されて、いらだってしまったのだろうか。
反撃されてカチンときた叡子は、元子に向かってわざと水をこぼす。
叡子「ごめん、わあ、ごめん、大丈夫?(←この謝るときの白々しい演技!)すみません、おしぼりください」
元子「大丈夫です。これはそんなに高くないので」
平然と言われ、叡子の顔がまた静かに歪む。
このとき元子が着ている“そんなに高くない”着物。
長谷川から元子がルダンを買おうとしていると聞いたあと、叡子はひとりで目を潤ませ、髪を乱してため息を吐く。冷静でいられない叡子の唇から見える歯が、かすかに震える。世話をした自分に報告もなく大きな店を持とうとしている元子の、筋の通っていないところが許せないのだろう。銀座で長年お店を守ってきたプライドも傷付く。
「若くてものを知らない都合の良い女」と「昔馴染みの信頼できる女」。元子と叡子、銀座に通う男たちが本当はどちらの女を選ぶのか、興味がある。
「USBメモリ」はいつまで登場し続けるのか問題
ところで、日本のドラマや映画において、重要なデータを示すアイテムとして「USBメモリ」はまだ欠かせないもののようだ。
料亭「梅村」の売買交渉の際、切り札となる「裏口入学寄付金枠紹介リスト」が入ったUSBメモリを、元子は橋田の目の前に差し出す。その場で踏みつぶされでもしたら一巻の終わりなので、当然バックアップはとっているものと信じる。が、それにしても、内容を印刷した紙まで持参しているのにUSBメモリは必要? と余計なことが気になってしまう。
元子が武器にしている黒革の手帖もまた、奪われたり燃やされたりしたら話が終わってしまう。ちゃんとコピーはとっているのかな。原作の元子は、手帖の内容を複写し、さらに別途書き写す念の入れようだった。
現在公開中の映画『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』(レビューはこちら)でも、反社会勢力と政府の癒着に関する情報が入った重要アイテムとしてUSBメモリが登場する。それをめぐり、生死をかけたカーチェイスなどがおこなわれる。
黒革の手帖もHiGH&LOWも大筋が面白いのでそこまで気にならないが、ただほんの少しだけ「クラウドに保存したりデータを暗号化したりしてやり取りできないものか」と思ってしまった。野暮ですね、すみません。
USBメモリも手帖も堂々と見せてすごむドラマ版の元子には、確かにスカッとする。手の内を明かし過ぎる詰めの甘さも、武井咲の若さとあいまってハラハラ感が出て良いのかもしれない。
やっぱり武井咲を応援したい
次回、第6話では、波子、楢林、市子、橋田……と、これまでの敵が大集合。4話では、すみ江を良いように使った元子に呆れかけたが、ここまで寄ってたかって来られると武井咲の味方をしたくなってくる。
若くてものを知らなくて都合が良い女かどうかは置いておくが、頑張っている若者はつい応援したくなっちゃいますね。
『黒革の手帖』第5話は、テレ朝動画やTVerで8月24日(木)のよる7時まで無料視聴できる。また、Amazonビデオなどで有料配信中だ。
(むらたえりか)
木曜ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)
毎週木曜 よる9時
出演:武井咲、江口洋介、仲里依紗、高畑淳子、奥田瑛二、高嶋政伸、ほか
原作:松本清張『黒革の手帖』(新潮文庫刊)
脚本:羽原大介
監督:本橋圭太、片山修
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)