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武井咲「黒革の手帖」原作のモデルになった現実の犯罪をお勉強させていただきます

先月よりテレビ朝日系にて、武井咲主演で新たにテレビドラマ化された「黒革の手帖」が放送されている。その原作は松本清張の同名小説だ。1980年の出版だから、もう37年も前の作品ということになる。(ドラマレビュー
武井咲「黒革の手帖」原作のモデルになった現実の犯罪をお勉強させていただきます
松本清張『黒革の手帖』(新潮文庫版)。現在では電子書籍でも読める

清張がモデルにした現実の事件とは?


清張作品には、実在の事件に取材したものが多い。銀行の女性行員が預金を横領したところから始まる『黒革の手帖』も、現実の事件をそっくりなぞってこそいないものの、モデルにしたであろう事件はいくつか思い浮かぶ。じつは作中にも、それらしき事件が出てくる。

《女性行員による預金横領事件はそれほど稀有というわけではない。数年前に起った或る地方銀行の横領事件もやはり永年勤務する預金係の女子行員で、その金額が九億円にも達していたことで世間をおどろかしたが、これも架空名義の預金を解約ということにし、出金伝票を切っては引き出していたのだった。土地成金の農家は税金逃れに腐心し、税務署を虎のように怖れて、架空名義や無記名預金へ逃げこむ》

このくだりはおそらく、同作発表の7年前、1973年に発覚した、関西のある地方銀行の京都府内の支店での女性行員による横領事件を念頭に置いて書かれたのではないか。この事件では、女性行員が35歳のときに知り合った年下のタクシー運転手の男に入れあげ、彼にせがまれるがままに不正手段に手をつけると、1966年12月から6年余りで総額で約9億円を横領する結果となった。この事実は、1973年2月に彼女がべつの支店に転勤を命じられて発覚する。転勤の辞令が出てまもなく彼女は姿をくらましたが、先に逮捕された相手の男の自供から、同年10月に大阪市内で発見、逮捕された。裁判では、懲役8年の実刑となる(男は懲役10年)。
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