8月10日(木)よる9時から放送の木曜ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)第4話。
敵を作りながら悪女の道を突き進む武井咲。
視聴率は10.7%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)と2桁台をキープ。
「黒革の手帖」4話。まつ毛が増えてギラつく武井咲を応援したいんだけど、できなくなるかも
イラスト/小西りえこ

4話あらすじ


銀座で一番大きなクラブ「ルダン」が売りに出されると聞いたクラブ「カルネ」のママ・原口元子武井咲)。銀座一のママになる夢を叶えるために、どうしても売値3億円のルダンを手に入れたいと考える。元子に執着する上星ゼミナール理事長・橋田常雄高嶋政伸)から、なんとか費用を引き出せないか画策していた。
そんな折、赤坂の料亭「梅村」の仲居・島崎すみ江内藤理沙)をカルネのホステスとして雇うことに。橋田からホテルに誘われた元子は、自分の代わりにすみ江を向かわせた。

愛すべきバイプレイヤー内藤理沙・憎み切れない高嶋政伸


元子「ふふ、私を信頼してくれるの?」
すみ江「お会いしたばかりですけど、なんていうか……、直感で」

すみ江は、料亭「梅村」で橋田に手籠めにされかけた元子を勝手口から逃がして助けた。元子を大通りまで送るときに「(無事で)良かった」と笑う。

心底安心したようなため息と笑顔が、すみ江の善良さと人懐っこさを一瞬で表していた。可愛らしくてすぐに好感を持ってしまう。

そんな愛すべきすみ江を、橋田に弁当を届けるためにホテルへ送り込む元子。その交通費として100万円を渡す。
弁当はもちろん建前で、橋田は元子との逢瀬を期待していた。逆に元子は、橋田が持つ裏口入学のための「寄付金枠紹介リスト」をすみ江にコピーさせることが狙い。

結局、何の事情も知らないすみ江が、橋田と肉体関係を持たざるを得なくなってしまった。100万円は慰謝料・口止め料の前払い金だ。恐ろしい。

視聴者にとっては「銀行に借名口座を作り脱税をする金持ちを成敗する義賊」という存在だった元子。しがない派遣社員から銀座最年少のママ、そして銀座一のママにのぼりつめる姿を応援したいと思わせてくれていた。
だが、元子を信頼している、何も知らないすみ江を簡単に犠牲にしたことで「義賊」だとは思えなくなってしまった。
疲れ切ったすみ江へ、元子からの労いの言葉はなく業務的な「おつかれさま」のみ。
5話以降、どのような気持ちで元子を見ればいいのか不安になってきた。

黒革の手帖がアイテムとしてそのまま登場したオマージュドラマ『女囚セブン』(テレビ朝日系)では、主人公の琴音剛力彩芽)が義賊となり、服役している女囚たちを導いた。
「罪は犯す奴が悪いんやない。犯させる奴が悪いんどす」というキメ台詞が、毎回痛快だった。慕ってくるすみ江を犠牲にした元子の罪は、誰に犯させられたのか。
お金か? 男たちか?

すみ江役の内藤理沙は、『女囚セブン』にも新人刑務官として出演していた。オスカーの主演女優たちをサポートする優秀なバイプレイヤーだ。
そして『女囚セブン』の大ボスは政治家・内藤裕次郎役の高嶋政伸だった。女をあなどり、女に成敗される役がなぜか似合う。怒って暴走しているときのジタバタとした態度から、憎み切れないこどもっぽさを感じてしまうからかもしれない。

武井咲、もう一皮剥けることに期待


長谷川「お金というのは生き物なの。
だから、自分を大事にしてくれる人のところには集まって来る。でもその反対に、粗末に扱う人は外に出ていってしまう。だからお金をいただいたときには、大事に大事に可愛がってやると、一旦は離れても必ず戻ってくる」

カルネの席で、橋田の財布を元子に手渡し、世の中のお金の動きについて諭す政財界のドン・長谷川伊東四朗)。
はっはっは、と大口を開けて笑うことが多いがトーンは低く単調で、視線は固定されており、本気で面白がって笑っているとはとても感じられない。「料亭『梅村』を買え」と橋田へ勧めている様子も、橋田の困惑ぶりから、突飛な思い付きで無理を言い出したおじいちゃんのように見える。

次回、裏口入学の「寄付金紹介者リスト」と黒革の手帖を使って、いよいよクラブ「ルダン」を手に入れようとする元子。
お金を動かすことの重要さを説いてくれた長谷川を敵に回すことになるかもしれない。
義賊の皮を捨てたせいか、元子を演じる武井咲の目が欲望でギラついている(2話と比べてまつ毛も濃く上向きになっている)。武井咲の演技の皮も、ここからさらにもう一枚剥けてしまうかもしれない。

『黒革の手帖』第4話は、テレ朝動画TVerで8月17日(木)のよる7時まで無料視聴できる。また、Amazonビデオなどで有料配信中だ。

(むらたえりか)

木曜ドラマ『黒革の手帖』(テレビ朝日系)
毎週木曜 よる9時
出演:武井咲、江口洋介、仲里依紗、高畑淳子、奥田瑛二、高嶋政伸、ほか
原作:松本清張『黒革の手帖』(新潮文庫刊)
脚本:羽原大介
監督:本橋圭太、片山修
ゼネラルプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)、菊池誠(アズバーズ)、岡美鶴(アズバーズ)