司令塔・藍沢(山下智久)がひときわかっこよかった。

ひときわ「コード・ブルー」らしい6話


ドクターヘリが降り立った現場の多くは一刻を争う。限られた時間と少ない道具を駆使して救出しなければならないのが「コード・ブルー」(月曜9時〜フジテレビ系)。
3rdシーズン6話はひときわハードだった。
山下智久「コード・ブルー」6話。無言の連携がかっこいい、奇跡で解決しないから辛い
イラスト/Morimori no moRi

冷凍倉庫内で事故が発生し、詳しい状況は不明のまま出動したドクターヘリ。
現場に駆けつけると救命士から「滑るんで気をつけて下さい」と言われたてさっそく滑るおっちょこちょいな藤川(浅利陽介)。
藤川をひょいと腕を掴んで助ける藍沢。

藤川と交代で駆けつけたフェローの灰谷(成田凌)と横峯(新木優子)に、
「冷凍室内に行け、怪我は腕の骨折だけだが救出に時間がかかるみたいだ。できるだけ保温して痛がるようなら鎮痛しろ。雪村こっち戻せ」
早口で庫内の状況と患者の容体、処置の指示を出す。用件を伝えて一瞬二人を見ただけで、あとはひたすら手を動かす。
複数のことを同時にこなす藍沢先生から、現場の緊張が伝わってくる。

できない人の気持ちがわかる藍沢


さらにかっこよかったのが、フェロー灰谷とのやりとりだ。
積荷の下敷きになり大量出血した患者を見つけた灰谷から報告が入る。手がふさがっている藍沢は冴島にレシーバーを操作してもらいながら報告を聞く。この時も頭部に穴を開ける最中でぐるぐると器具を回していた。
聞き終わったところでようやく藍沢の手が止まる。
察した藤川が、病院で待機する白石(新垣結衣)にパスを投げて白石が遠隔で灰谷のフォローに入る。無言の連携、これも「コード・ブルー」。

動脈損傷で出血が止まらない患者の足を麻酔なしで切開する判断に。怯える灰谷。見かねて横峯がメスを握ったが、動脈が出ずに失敗。白石は「もう一度切って」と指示を出す。だが、二人とも痛みで叫ぶ患者を前にして動けない。
再びパスは藍沢に。

藍沢はフェロー時代に、新人に厳しい黒田(柳葉敏郎)を驚かせたことがある。初のフライトで機械に片腕を挟まれた患者を診て腕の切断を即断したのだ。そんな男が、臆病で逃げる灰谷をどう導くのか。


「シアンガス騒ぎの時、お前は臆病な自分を嘆いてた。またあとになって病院に戻ってから嘆くのか。それともここでその患者を救うのか、決めるのはお前だ」
灰谷の気持ちを汲んで背中を押す。

「今やらないで、もしあなたが死んだらこの自分を許すことができません、お願いですやらせてください」
灰谷は患者を納得させた上でメスを入れた。5話で藤川が悩んでいた時と同じように、最後の決断は本人に任せるのが藍沢流なのだ。

「最後まで責任を持って診ろ、この患者は正真正銘お前が救った患者だ」
指示を出し、四方八方から飛んでくるパスを返しながら処置を続けた藍沢。さらに後輩の背中を押して、倉庫から搬送するわずかな時間でフォローを入れた。終始超人のようだけど、無事に患者の処置を終えた時に「ふぅ」と目を閉じた瞬間、感情がのぞいた。

医療事故?裏に何がある


脳腫瘍が悪化して緊急オペをした天才ピアニスト・奏(田鍋梨々花)の手に後遺症が残ってしまった。
「先生は私の命よりも大事なものを奪った」と泣き、藍沢は「約束を破った」と謝罪する。

「今の私たちに求められるのは結果」と白石のナレーション。患者が命を一番に考えないとなると、藍沢と患者が望む「結果」は異なる。


5話で廊下ですれ違った新海(安藤政信)から、「大丈夫だよ、俺たちがやったんだ」と言われる。
藍沢の表情から心境を察した新海が、自分にも言い聞かせるように言っていたのも気になる。
手に震えが残ったことでピアニスト人生が危ぶまれる奏。奇跡では解決しない「コード・ブルー」、後半はもっと深刻な問題が出てきそうで心配だ。

(柚月裕実 イラスト/Morimori no moRi
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