第3週「一生笑わしたる」第16回 10月19日(木)放送より。
脚本:吉田智子 演出: 本木一博
![「わろてんか」16話。女はお饅頭はんぶんこよりも、柿をいくらでももいでくれる王子様が好きなのか](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewmov%252F2017%252FE1508421330975_4629_1.jpg,quality=70,type=jpg)
16話はこんな話
商家の跡取り・長男長女である、てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は、決して結ばれることのない間柄。だが、ふたりの心は引き合って・・・。
おまんじゅう半分、柿1個ずつ
「まるでロミオとジュリエット」とナレーション(小野文惠)が語るように、この当時(明治のおわり)はまだまだ家が第一で、長男長女は家を継ぐ存在であり、伊能栞(高橋一生)が言うような「自由恋愛」は許されない。
婿をとる身でありながら、男を蔵に匿っていたてんに激怒した儀兵衛(遠藤憲一)は、藤吉を追い出し、蔵にてんを閉じ込める。
蔵には、はしごで上がると天窓が空いていて、中と外とでやりとりが容易にできることは、10話の風太の行動によってすでに描かれ済みであり、藤吉もはしごでこっそりてんに会いに来る。
この展開、とにかく風太が可哀想。
彼ははしごから、まんじゅうを半分投げ入れる。彼がいつも食べ物を半分こにするのは、8話で語られた、彼がてんに半分分けてもらったことが嬉しかったからだ。
一方、藤吉は、どっかからもいできた柿を、1個まるごとてんに差し出し、自分も1個かぶりつく。
そして、喜ぶてんに「いくらでももいでくる」と言うのだ。
坊っちゃん嬢ちゃんだから美味しいものを1個ずつ食べるという生まれ持った性分も感じてしまうし、
想像をふくらませると、藤吉は、なにもできないにもかかわらず、夢は大きい。
愛する女の子が喜んでくれるなら、柿という夢を“いくらでも”もいでくる、という根拠なきでっかい発想に走ることができ、それが女子の心を震わせるとも言えるだろう。
半分このつつましさも好ましいけれど、なんだかよくわからない可能性の広がりも人間には大事。
こうして、てんの心が藤吉に向かって止まらないことを感じ、風太は手に持った小さなおまんじゅうを握りつぶす。辛いっす。
なにが辛いって、藤吉がてんを見る顔が、育ちのいいぼんぼん風というのか、荒んだ感じがしないこと。芸事が好きで、家を捨ててまでやっている純粋さを漂わせる、松坂桃李が醸し出すその空気は、最強だ。
結局、藤吉とキースは祭りに出たのか?
祭りも終わりと、出店の片付けられかかった境内を、リリコ(広瀬アリス)と藤吉が歩いている。
テキ屋から逃げていたはずが、こんなとこを歩いていて見つからないのだろうか。
今日のわろ点
◯ 儀兵衛「全員、座敷に引立てい!」
使用人たち「へーい」
目下、遠藤憲一がくすっと笑える役回りをひとりで担っている。
◯リリコ←べっこう飴、藤吉←チョコレート、風太←おまんじゅう みんな食べ物で釣られている・・・。
(木俣冬)
「わろてんか」くすり祭りと神社に行ってみた、ドラマとは別物だったルポ