第3週「一生笑わしたる」第14回 10月17日(火)放送より。
脚本:吉田智子 演出: 本木一博
14話はこんな話
無許可で見世物をやって露天商に咎めらたキース(大野拓朗)の逃亡劇に巻き込まれた藤吉(松坂桃李)は、てん(葵わかな)をかばって怪我をしてしまう。
許されぬ恋や
リリコ(広瀬アリス)に、藤吉(松坂桃李)が手紙で書いてきたことが嘘だったと教えられたてん。
藤吉は売れっ子の芸人ではなく、大阪の米問屋の長男で、ただの放蕩息子であった。
その話を聞いたりん(堀田真由)とトキ(徳永えり)は「跡取りの長男長女 ますますたいへん」「許されぬ恋や」と盛り上がる。
藤吉のことを引きずるてんは、学校の帰り、お参りに神社に立ち寄ると、また藤吉に出会ってしまう。
露天商とのトラブルに巻き込まれて負傷した藤吉を、家の蔵に匿い看病するてん。
それを風太(濱田岳)に見られて、また、ひと波乱ありそう。
![「わろてんか」14話。竹下景子が高橋一生に悶える場面は、あの伝説のホームドラマオマージュか](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FExcite_review%252Freviewmov%252F2017%252FE1508257646885_d73e_1.jpg,quality=70,type=jpg)
いい味出してるキース、発展途上の藤吉
8年前の出会いといい、いつもキースがトラブルメーカー(及び、てんと藤吉を結びつけるきっかけ)だが、大野拓朗のあっけらかんとした雰囲気が憎めない。
大野拓朗は、デビュー時、高学歴イケメン俳優という触れ込みだったが、「とと姉ちゃん」(16年)でコメディリリーフとしての才能を花開かせ、今回も、藤吉の愉快な相棒として、ドラマを盛り上げてくれそう。
いち早く、調子のいいダメキャラというポジションをキースが築いている一方で、藤吉は、まだまだ、ダメなぼんぼんキャラが、深く理解され、深く愛されるところまではいけてない印象。
主要人物なので、もったいつけて描いているだけだろう。目下、商家を出て芸人を目指すも、やってみる芸がすべてうまくできない。なかなか立ち位置が見出せず、唯一笑ってくれたてんをもっと笑わそうと頑張っているが・・・という冴えないところばかりクローズアップされている。どう考えても、結婚相手には、伊能栞(高橋一生)のほうがいい。
松坂は、もともとクールで頭のキレる役どころで力を発揮する俳優で、ちょうど映画化も発表になった舞台「娼年」(16年)で演じた役どころのディープな感じも似合う。それが今回は、とことんダメという新境地に挑んでいるのだろう。
今日のわろ点
◯結婚とはなにかについて家族で語り合っているとき、しず(鈴木保奈美)の回想「こんな堅物いやだった」を聞いた儀兵衛(遠藤憲一)の、ものすごくものすごく悲しい顔。
◯竹下景子が写真を見て「伊能はん〜」とうっとりする姿に風太(濱田岳)が「おえっ」。
70年代の伝説的ホームドラマ「寺内貫太郎一家」でおばあちゃん役の樹木希林が「ジュリ〜」と悶えていた感じを目指しているのか。竹下景子で! すごいとこを狙ってきた。ちなみに、後藤高久プロデューサーの手がけた朝ドラ「つばさ」にも「寺内貫太郎一家」オマージュがある。
◯「シシ礼しました」 藤吉による、獅子と失礼をかけたダジャレ。大イタチ(板に血をつけたもの)という見世物が成立する時代だから、ありなのかも。笑いも時を経て、進化していることを感じる。
(木俣冬)