現在公開中の『ブレードランナー 2049』。1982年に公開された映画『ブレードランナー』の続編。

続編までにこんなに間が空いた作品って他にあるんでしょうか。35年!私が漫画アシスタントとして働いている職場でも話題になってます。
「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
イラスト/たきりょうこ

「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
イラスト/たきりょうこ

「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
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どれでも?そんなにたくさん出てたのか、「じゃーとりあえず1を観よう」と思って調べてみたら
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ええー。ややこしい!どうやら全部で5つあるそうです。
違いは一部のカットやナレーションの有無らしいので、とりあえずファイナルカット版を観てみました。

ちょっとずれた未来感がほほえましい


この手の近未来物を、その年代になってから観るのはタイムカプセル的な楽しさがあります。空飛ぶ車とか、そういえば近未来アイテム定番だった!未来なのに懐かしい。

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冒頭のごはん屋さんで、お互い意味は通じてるのに英語と日本語で話すので、「なんらかのデバイスで自動翻訳してるんだ!」と思ったら
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訳してもらってた。ちがったー。2人が英語も日本語もわかるだけだった。街中に日本語の看板がよく出てくるので、あの地域では日本語も公用語の一つになってるよ、って事なんでしょうか。
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空飛ぶ車は車内でうどんが食べられるほど揺れないらしい。離陸時の衝撃でもこぼれないんでしょうか。
すごい。乗ってみたい。

技術的なずれだけじゃなく、感覚的なずれも面白い


基本的には「SF世界で、足で捜査する刑事もの」なんですけど、デッカードの聞き込みに対して周りの人が何でもあっさりしゃべっちゃうのが、昨今の個人情報保護の観点からするとちょっとはらはらします。
デッカードが警察手帳らしきものをちらっとみせてるので、「警察だから」喋ってるとは思うんですけど
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ちゃんと協力的に質問に答えてた一般市民から暴力で情報を聞き出したり
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引退して一般市民になった人に権力でもって強制労働させてたり。労働組合がアップをはじめる案件!
現代でもなくはないけど、映画で描くならもっと気を遣って作られるようになったところだなーと思います。「暴力で吐かせるしかなかった」「引退した人に権力で強制される理由があった」とか、必然性を追加されたりするところ。
「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
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壁ドンも容赦ない!
このシーンで「感情がまだおいついてないから」レイチェルがいったん逃げるのはわかるんですけど、それを追いかけて力ずくで扉を閉めて窓にたたきつけて「キスしてって言え」は、現代の私の感覚だとけっこうこわい。

この当時は、これくらい強引でちょっと暴力的な男性がかっこよかった、という時代なんだろうなーと、いちばん今とのギャップを感じたところです。
デッカードが「レイチェルは自分のことが好き」って確信していて、愛情を教えるつもりでとった行動なのはちゃんと受け取れました。
でも今この映画が作られていたらこのシーンでもっとレイチェルに優しくしただろうし、このあと全部デッカードに従うようになったレイチェルにもうちょっと自主性持たせそう。

レプリカントと人間の違いは複雑さ


「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
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リオンは液体窒素っぽいものに手をつっこんでも真顔。プリスは沸騰させたお湯に手をつっこんでも笑顔。
体はちょっと丈夫な程度で人間と変わらないなら、凍傷や火傷は負ってるはずで、痛覚もたぶんある。

それを表に出すのが「感情」なんでしょうか。ロイだけは右手に釘を刺すとき痛そうな顔をするので、いちばん感情が育ってると。
でも感情をあんまり表に出さない人間もいます。そういう人を「人間らしくない」としてしまうのも雑な気がします。
「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
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レプリカントが奴隷のように扱われている事についても、対するデッカードが同じく強制的に命がけの仕事をさせられているので、あんまり差がありません。
より複雑なのが人間、くらいに見えました。
レプリカントは目的が「もっと生きたい」「奴隷から解放されたい」とわかりやすいけど、作中の人間は複雑で何を考えてるかわかりにくくて、いろんな解釈ができる。
複雑なものにも単純なものにも魅力はあるので、私はどっちも好きです。今も当時も人気ありそうだなーと思ったのはロイでした。
「ブレードランナー2049」を観る前に「ブレードランナー」を観ろと言われた、初めて観た、描いた
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ちゃんと釘を刺してないほうの手で鳩をつかんで、ビルを飛び移った時もデッカードを引き揚げた時も、片手ではふんわり鳩を持ってたロイ。やさしい。でもなんで鳩持ったの。


2049はこれから観ます。32年後に、またタイムカプセル的に観られたら楽しそう。
(イラストと文/たきりょうこ)