
「文明展」と聞くと、ちょっと小難しい勉強イメージを持つ人もいるかもしれない。
だが、憧れを抱いたことがある人も多い「ナスカの地上絵」も、「シカンの黄金の仮面」も「インカ帝国」も、みんな古代アンデス文明だ。
そして、これらの時代・地域ごとの切り口で開催されてきた展覧会を、ひとつにまとめ、体系的に見せてくれるのが、今回の「古代アンデス文明展」なのだ。そう思うと、確かに勉強にはなる。
しかし、実際に行ってみると、「文明展」であることや、勉強的要素をいったん忘れ、シンプルにアートとしての魅力に引き込まれてしまった。
土器のユニークな造形の裏に恐ろしい背景も
ミイラなどを展示している撮影NGのスペース以外、基本的に撮影OKということもあり、造形的可愛さ・面白さに、思わず写真を撮りまくってしまった。

例えば、シュールな表情や、ユニークな造形の中には、『神のちから』時代のさくらももこ的なタッチのものや、中川いさみや吉田戦車的なもの、『神聖モテモテ王国』のファー様(ファーザー)のようなデザイン、雷句誠の『金色のガッシュ!!』に出てきそうなデザインもある。


しかも、「斬られた自分の首を両手で持つ男をかたどった土器」のような恐ろしいものもあれば、一見、フレンドリーな猫が肩を揉んでくれているような造形ながら、実はいけにえを押さえ込んで、噛もうとしているなど、面白さ・可愛さの裏に、ひどく恐ろしい背景が潜むものもある。