【描き下ろしイラスト第2弾公開!】
— おんせん松さん (@onsenmatsusan) 2018年1月19日
「温泉(ホット)ジェニック」ショーを盛り上げるべく、
さらにパワーアップした6つ子たちの姿を大公開!#おそ松さん #おんせん松さん #アヒル松 #大江戸温泉物語 pic.twitter.com/wjBIWYo4QY
『おそ松さん』といえば銭湯。ナイスコラボ。

おそ松さんと東京03
ゆるーいコントが2本、ドタバタコントが2本という作りの15話。
特に「ビン」の、心底どうでもいいやりとりに終止する流れは、原作の血を受け継いだ、日本の日常コメディ。
これが、東京03のコントに通ずる部分が多い。
お笑い芸人の東京03(豊本明長、飯塚悟志、角田晃広)は、男たちのちょっと抜けた日常風景を演じるのが得意。
ちょっとイキリ気味でやらかして突っ込まれる角田、真面目そうにシュールなボケをいれる豊本、ツッコミでストーリーを回す役割の飯塚。
『おそ松さん』の脚本家松原秀は、『エンタの神様』で東京03や、勘違いコントが得意なアンジャッシュなどと関わっている。
このアニメのテンポ・間のとり方は、人力舎系列のお笑い芸人のコントの構造を意識してみると、理解しやすくなる部分が多い。
東京03の角田にあたるのが、今回のチョロ松。
今回だと、ビンを開ける際に斜に構えて彼は言う。
「何を下らない事やってんの? たくいい大人が。そんな瓶1個にぎゃーぎゃーと情けない。みんなにはもっと他にやらなきゃいけないことがないかなあ? 恥ずかしくない? ねえ?」
みんなを正論でイヤーな気持ちにさせたあと、手だけ差し出すチョロ松。
チョロ松「貸して。瓶。ちょっと僕がやってみるわ」
おそ松「いやいやいいよ」
チョロ松「ん」
おそ松「なんだよ!くだらないことなんだろ!いい大人がやることじゃないんだろ!ほんとはやりたいんだろ!じゃあそう言えよ!」
マウントとって見下したしゃべりで、じらす。けれど、実はへっぴり腰気味で役立たず。
チョロ松の面倒くさい性格である真面目系クズの情けなさは、東京03の角田が頻繁に演じる背伸び男キャラクターによく似ている。
常識人っぽく言っていることが、実は自意識過剰の産物、という立ち回りの鬱陶しさ。
そして弱々しい本質から滲む、かわいらしさ。
一方でおそ松やトド松は、飯塚の位置に置き換えられる。
マウント取りたがりの彼(角田・チョロ松)を見透かして、ずばっと論破。冷たくあしらう。けれどもそこに人情がある。
ハリボテな正論を、真実でつぶせる役回りだ。
公式YouTubeで見られるコント「帰省にて」は3人のバランスは非常にわかりやすく、『おそ松さん』とも比較しやすい作品。
都会から帰ってきて妙にかっこつけた角田が、実は背伸びしておおげさにしていたことが判明。それをネタに、変なあだ名をつけて楽しむ飯塚の様子は、おそ松そっくり。
逆ギレする角田がまたえらくチョロ松っぽい。微妙にズレている朴念仁な豊本は、一松と十四松を足して2で割った感じ。
「都会人」の記号としての角田の格好は、トド松の外出着とほとんど同じだ。
東京03 - 「帰省にて」 / 『第15回東京03単独公演「露骨中の露骨」』より
他にも「サングラス」というコントでは、角田が似合わないドハデなサングラスを買って、これが新しい自分だとソワソワする。前回の「チョロ松事変」でチョロ松が茶髪に染めたのと基礎構造がそっくり。
いずれも男たちのちっぽけなプライドが余計な問題を招いていく。なのに、なんとも憎めない。

ボケ担当をいじり倒しながら笑いを作る中で、人生のしょっぱい部分と、少しだけ幸せな部分を混ぜることで味わいを出せるのが、コントの魅力のひとつ。
松原秀は『おそ松さん』において、このコントならではのテンポと余韻と、アニメでしかできないギャグの見せ方(爆発オチや十四松の暴れっぷり、エログロなど)をミックスすることで、二期は独自のリズムを作ろうとしているようだ。
特にパロディは少なめ、F6(イケメンおそ松さん)無しなのも、そのあたりが要因なのかも。
今回の「カラ松タクシー」も、車のボンネットが開くコミカルなシーンや、トト子の泣ける仕事論からのまだ就活中だったオチまで含め、ザ・コントの教科書、といったきれいな作り。
最初にUMAを追いかけるドタバタを、最後にアニメ的スラップスティックに全振りした「トッティクイズ」を入れてくる構成。
めちゃくちゃに詰め込んでいるようで、見やすくバランスを整える試行錯誤が感じられる回だ。
(たまごまご)