
これ、見せてもいいんですか?デザイン画ファイルも
入り口付近に展示されているのは、ドラマを担当する美術デザイナーのデスクを再現したもの。色鉛筆や定規などが並び、デスク脇にはドラマごとのファイルが置いてある。このファイルは自由に閲覧でき、貴重なデザイン画を生で見られる。


懐かしのドラマの小道具たち
1987年の「アナウンサーぷっつん物語」から最新作「海月姫」まで、放送年表とそれぞれのドラマ台本が並んでいる。懐かしいタイトルを見ると、その時の思い出まで蘇る。さらに「ロングバケーション」の名場面で使われたスーパーボールなどのドラマの小道具、「西遊記」でキャストが着用した衣装なども展示されており、懐かしさ倍増だ。




セットを組む前の模型もある。この模型を使ってカメラの位置や動きも確認する。さらに推理物ドラマについては、トリックに無理がないか検証するためにセットの模型を作ることもあるそうだ。



あなたも貴族に?玉座、座れます
2017年に放送されたドラマ「貴族探偵」。そこに登場した、嵐の相葉雅紀さん演じる貴族探偵“御前様”が座る玉座が展示されている。デザイナーの杉山宏樹さんによると、貴族の世界を創り出すためセットの制作では細部にもこだわったそうだ。


そして撮影に使われた貴族探偵が座る玉座は、実際に座ることが可能! 玉座に座ってみるとセットの裏側も見ることができ興味深い。ここも撮影OKなのでSNSに載せたくなるはず。



デザインの環境も進化している
もうひとつ展示されている美術デザイナーの机は、「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―THE THIRD SEASON」担当デザイナーのデスクを再現したもの。先ほどのドラマ担当デザイナーのデスクと比べると全体的にすっきりしている。

崩落現場の岩の重さは…?
2017年放送の「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―THE THIRD SEASON」からは崩落事故の現場セットが再現されている。デザイナーの飯塚洋行さんは「大きな岩も持ち上げられる素材で大道具さんが作っています。撮影の時はここに実際の砂をかけてリアリティを出しました」と話す。

展示に手を触れることはできないが、セットの瓦礫を持ち上げる特別コーナーがある。ドラマでも作られた本物そっくりの瓦礫に触れてみよう。

さらに病院医局セットも展示。人の気配を感じるリアルなセットを見ていると登場人物たちが目の前に現れそうだ。




セットをきちんと作りすぎてNG?
2017年放送の「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」の主人公が暮らす団地の実物セットも。小さい子どもがいる設定のため、部屋の中に父親が手作りした滑り台がある。


この滑り台、実は作り直したもの。NG理由は「立派すぎて素人の手作りに見えないから」。リアリティを出すため、すのこを使ってわざと素人っぽく作り直したそうだ。


美術デザイナーという仕事
公益財団法人放送番組センターの高橋春名さんは、このイベントを通してドラマの美術デザイナーという仕事があるのを知ってほしいと話す。
開催期間中の3月21日(水・祝)には、美術デザイナーの解説を聞くことができる「セットデザインのヒミツツアー」も開催されるので(抽選で60名要申込)、裏話を聞くことができるかもしれない。

これだけのドラマセットが撮影OKで、さらに入場無料なのは貴重な機会。著作権などの問題も「文化資料」としての価値が認められたからクリアできたのだとか。
誰も見たことがない世界を作り出し、説得力を与える。視聴者の気持ちが入り込むことができるのは、俳優の演技や演出だけでなく、美術デザイナーを始めとするスタッフの努力もある。この展示を見るとドラマをまた別の視点からも楽しめるはず。

フジテレビ セットデザインのヒミツ展2〜月9ドラマ30周年の軌跡〜
◆日時
2018年2月23日(金)~4月8日(日)
10:00~17:00
※月曜休館
◆会場
放送ライブラリー 展示フロア
(横浜市中区日本大通11 横浜情報文化センター)
◆入場
無料









(前田郁/イベニア)