木村拓哉主演、井上由美子脚本のドラマ『BG~身辺警護人~』。クライアントのため、丸腰で敵に挑むボディガードたちの活躍を描く。


木村拓哉と山口智子の『ロンバケ』コンビによる22年ぶりの共演も話題を呼び、先週放送された第7話は第1話を上回る視聴率15.8%を記録。これはシリーズ化、ありますね。
「BG~身辺警護人~」木村拓哉山口智子の「ロンバケ」ごっこで高視聴率獲得7話。今夜15分拡大最終章へ
ブロマイド写真★『ブレードランナー』ハリソン・フォード/銃を持って車の上にいるデッカード/W-2641(amazonより)

犯人は『白線流し』の遊井亮子!


元妻の仁美(山口智子)からボディガードを依頼された島崎(木村拓哉)。当初は同僚に代わってもらおうとしたが、高梨(斎藤工)や課長の村田(上川隆也)の強い薦めで島崎本人がボディガードを務めることになる。毎回恒例の「誤差なし」で誤差があったのは、何かの歯車が狂っている表れ。それはラストシーンにつながっている。

島崎に仁美が高級時計をプレゼントし、島崎が仁美にプロポーズをしてくるくる抱っこやキスをする回想シーンに、「『ロンバケ』そのまんま」「島崎と仁美じゃなくて瀬名と南だ」と視聴者は大沸騰。とはいえ、ニット帽にブルゾン姿の45歳のキムタクは、クローズアップはさすがにちょっとつらかった。なお、オンエアでは提供クレジットが被っていたが、TVerならノンクレジットで堪能することができる。

仁美の家に嫌がらせを続けていたのは、仁美の今の夫の元交際相手(遊井亮子)だった。島崎にあっさりと取り押さえられ、これで一件落着。遊井亮子は『ロンバケ』と同年(96年)のドラマ『白線流し』で主人公の渉(長瀬智也)に恋心を抱いて園子(酒井美紀)に嫌がらせを続ける茅乃役を演じていた。今回とまったく同じ役! 

90年代俳優たちのそれぞれの歩み


その日の夜、仁美は島崎と息子の瞬(田中奏生)を交えて、フランス料理店で6年ぶりに(元)家族の時間を過ごそうとする。しかし、そこでは厚労相の立原愛子(石田ゆり子)が民自党の五十嵐幹事長(堀内正美)と秘密の会合を行っていた。
当然、愛子のSP、警視庁の落合(江口洋介)もいた。

そこへ五十嵐の元秘書、植野(萩原聖人)がやってくる。彼は秘書時代、五十嵐の収賄事件の責任を一人で被り、そのまま裏切られていた。彼は入手したピストル(映画『ブレードランナー』でも使われた4本の銃身を持つデリンジャーCOP.357)をふりかざし、五十嵐に会わせろ、と迫る。関連

前回のレビューでも指摘したが、木村拓哉、山口智子、石田ゆり子、江口洋介、萩原聖人は、いずれも80年代末にデビューし、90年代に大活躍して、今も第一線に残るスターばかりだ。それぞれの歩んできた道が、微妙に役柄に反映されているようで興味深い。

家族を背負いつつ、SMAP解散という重い傷を抱えている木村(島崎は大きな失敗を抱えた男)。同じ第一線の俳優と結婚しつつ、「子どものいない人生」を選択した山口(仁美は子持ちだが、夫婦だけの生活を選んでいる)。40代後半にして再度大ブレイクした理由は「“緩い”雰囲気」と書かれる石田(愛子は男の政治家たちの添え物として扱われている)。主人公から脇役にまわり、実直さを貫く江口(落合の雰囲気そのまんま)。ギャンブルなどのダーティーなイメージを役柄に活かしてきた萩原(植野は裏世界と接触してピストルを入手している)。20年以上にわたって歩んできた、それぞれの道のりが画面に滲み出ているようだった。


『ロンバケ』ごっこで危機回避!?


島崎と仁美の“『ロンバケ』ごっこ”で植野の気をそらし、落合が制圧しようとするが失敗(相変わらず無能)。五十嵐の罵詈雑言に植野は逆上するが、島崎が飛びつき、SPたちが取り押さえる。しかし、島崎をかばった上司の村田が足に銃弾を浴びてしまった! 

上川隆也の「待ってください、先生!」は今シリーズ一番のイイ声。ここまでほとんど見せ場がなかったが、第7話にしてようやく活躍の場が与えられた感じだ。現在52歳の上川は、木村や江口とはまったく違う劇団員というルートから這い上がってきたキャリアの持ち主。彼が演じる村田は、実直で懐が深く、異様にマメな理想の上司像だ。

救急車に乗せられる村田と、それに付き添う島崎。島崎は村田に感謝の言葉を告げるが……村田の心電図の反応がなくなってしまった!(「No Pulse」という表示が出る) はたして、村田の容態は? そして、闇に葬り去られようとする銃撃事件の推移は? 今夜放送の8話で『BG』は最終章に突入! 9話が最終回らしい。今夜9時から。
(大山くまお)

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