水溶き不要でとろみづけ 片栗粉の不満を解消したミックス粉はいかにして生まれたか
「水溶きいらず」というのは革命的ですね。

ボトルからふり出して使える日清フーズの「日清 クッキング フラワー」シリーズから、小麦粉、パン粉に続いて、片栗粉メニューで使える商品が出た。

その名も「日清 水溶きいらずのとろみ上手」。


実はこの商品、「日清 クッキング フラワー」を販売開始した2015年2月当初から構想にはあったもので、3年近い時を経て商品化したものという。
開発の経緯について、日清フーズに聞いた。


片栗粉の水溶きに対する不満


「片栗粉に関する不満を調査したところ、『粉が舞い、キッチンが汚れる』『パッケージが縦置きで自立せず、保管しにくい』など、小麦粉に対する不満と同様のものが多数挙がってきました。加えて、片栗粉はとろみづけに使用する機会が多いものの、レシピではたいてい『水溶き片栗粉』とあるだけで、分量などは記載されていないことが多いですよね。そのため、『水溶きした片栗粉が余ってしまう(あるいは、足りない)』といったさまざまな不満もあったのです」(日清フーズ加工食品事業部営業グループ・水田成保さん、以下同)

さらに、片栗粉も小麦粉同様、棚などにしまっている人も多く、おまけに、小麦粉やパン粉に比べて、一度に使用する量も少ないことが多い。

自分なども料理する際に、「面倒くさいから、スープのとろみは省略しちゃえ」とか「あんかけにすれば美味しいけど、面倒くさいから、とろみはなくても良いか」なんてことがある。その面倒くささの理由はまさに「ちょっとしか使わないこと」と「棚や冷蔵庫にしまいこんでいること」だ。

しかし、それがキッチンに出してあるボトルからササッとふり出すだけでできる、さらに「水溶き」しなくても良いとなると、確実に使用頻度が増えそう。

「一般的に片栗粉を使用するのは、『とろみづけ』と『から揚げ』との半分半分となっています。水溶きせずにとろみづけできることと同時に、から揚げの白い粉吹き感やサクサク感も出したい。その両面を実現するところに難しさがありました」


片栗粉より大きい粒に秘密アリ


ちなみに、この商品、厳密には「片栗粉」でなく、「調理用ミックス」という名称だ。
一般的な片栗粉とは何が違うのか。
「『とろみ上手』は、馬鈴薯のでんぷんと、小麦のでんぷん、その他数種類の加工でんぷんなどを独自配合でブレンドしています。
それをサラサラの顆粒状にしたことで、粉が舞いにくく、ボトルからふり出しやすくしました。また、触ってみるとわかりますが、一般的な片栗粉のほうが粒が細かくなっています。粒を大きく、顆粒にすることで、水溶きしなくてもダマになりにくく、粉自体が素材の水分を吸ってとろみがつくようにしています。一方、粒を大きくしすぎると、から揚げのときにお肉につく粉がまばらになり、粉吹きしにくくなるので、ちょうど良い粒度を追求しています」

もともと日清フーズでは、から揚げ粉やお好み焼き粉、パンケーキミックスなどでも、でんぷん等も配合されたいわゆるミックス粉を発売している。そうした知見も生かして作られたのが、片栗粉メニューに使える同商品というわけだ。

正直、通常の片栗粉に比べると、割高感はある。

でも、「いつ買ったか覚えてない片栗粉」を、冷蔵庫やキッチンの奥から取り出して、ちょっとだけ出して、キッチンまわりを掃除して……なんて手間を考えると、この利便性は嬉しい。

また、実質、ボトルからふり出すだけなのに、とろみをつけると、料理が1ランクアップした印象にもなりそうだ。
(田幸和歌子)