秀作(山田涼介)が顔を歪ませ、背景には「ジャージャージャーン!」と火曜サスペンス劇場のテーマ曲が流れる。
ついに、第1話から心配していたことが現実になってしまった。秀作は、北沢家のこどもではなかった。

3月10日(土)放送のドラマ『もみ消して冬 ~わが家の問題なかったことに~』(日本テレビ系列)、第9話。
信条を曲げ、罪を犯してまで北沢家のために尽力してきた秀作が、北沢家のこどもではないことが明らかになった。秀作と取り違えられたこどもは、ケーキ屋の息子・吉田邦男(加藤諒)だった。
なんでこんなにつらい目に。山田涼介の顔がきれいだからか
秀作「僕と父さんは、血が繋がってません」
邦男がおこなったDNA検査によって、どうあがいても秀作は北沢家のこどもでないことが明らかになってしまった。
一世一代の秀作の告白に、知晶(波瑠)と博文(小澤征悦)は「ふーん、そうなんだ」「ははーん、そういうことか」と冷静。火サスのテーマ曲は流れない。
博文「腑に落ちたんだ、なあ」
知晶「私もすっごく納得したの」
秀作「ど、ど、どういうこと?」
知晶「どうして秀作に冷たくあたっちゃうのか、ずっと悩んでいたから」
博文「俺もだ。そのことで何度自分を責めたかわからない」
秀作に冷たくしてしまうという自覚が、2人にあったとは。
秀作「それって血が繋がってないことと関係ある?」
知晶「いや、それ以外考えられないでしょう」
博文「無意識が拒絶したんだなあ」
知晶「動物的な嗅覚が異分子を察知して警告を鳴らしたともいえる」
博文「そういうことだ。
自分たちのおこないを全て秀作に責任転嫁し、スッキリ顔の兄と姉。父親の泰蔵(中村梅雀)までもが、怒ってバカラのグラスを投げつけてしまうのは、血が繋がっていないせいだと言い出す。
自分ではどうしようもない出生の秘密で、こんなに責められる人が他にいるかよ。
25歳とはいえ、博文と並ぶともっと幼い少年のように見える秀作が顔をグシャッとさせて泣く。こどもを泣かせているように見える。
例によって芝生に転がって落ち込む秀作。そこに博文がやってきて、「北沢ブラザーズの絆を忘れたのか」と優しく声をかけた。
秀作「僕はこれからどうすればいいの?」
博文「なんにも変わらないよ。これまで通り、俺たちは家族だ。秀作はこれからも北沢泰蔵の息子だし、俺と知晶の可愛い弟だ。そうだろ」
秀作を一番適当に扱っていた博文が、家族の仲介役になった。
なんだ、これまで色々と助けてくれていた秀作に、博文は恩を感じていたのか。
と、安心したのもつかの間、秀作と邦男を交換して1週間暮らすことに。秀作の上げ足を取る調子の良い邦男を受け入れ、また秀作を責める北沢家。
ここまでの8話で少しずつ北沢家と秀作の関係を育んできたはずなのに。なんで秀作がこんなにつらい目にあわないといけないんだ。
でも、山田涼介の整いまくったきれいな顔を見ていると、それが崩れた表情を見たくなる気持ちもわかる。
「山田涼介の悲しい顔見たいよね」が裏テーマなんじゃないか。
もっと弱みが見たくなる、秀作の心の掴み方
人は、他者に弱みやリラックスした姿を見せることで、信頼されたり親近感を持ってもらえたりする。
秀作は泣き顔も、困っている姿も、悩んでいるモノローグまでも、視聴者に散々見せてきた。
北沢家には邦男、吉田家には秀作。
交換生活で、邦男は念願の贅沢な暮らしを満喫。
ある晩、泰蔵が恋仲にあるミランダの息子の靴を間違えて履いて帰ってくるというトラブルが発生。
他人の家に侵入して、靴を入れ替えて帰ってくる。邦男はできないというが、秀作にとってはこれまでもみ消してきたトラブルと比べたら簡単なもの。邦男は、秀作にお手本を見せてくれと頼む。
秀作「病院で取り違えられたこども同士が協力し合い、取り違えられた靴を元通りに戻すこのミッション」
ミッションは成功し、邦男は北沢家に帰って手柄を褒められる。でも、知晶には見抜かれていた。
知晶「秀作がやったんでしょう? 黙ってないで答えて」
邦男「ごめんなさい。秀作さんには、多少のお手伝いはいただいたんですが……」
知晶「一週間はもうとっくに過ぎているはずよね。どうしてあなたたちは元の家に戻らないの?」
やっぱり知晶も、秀作に戻ってきてほしいのだ。
吉田家では、秀作は毎朝産みたての卵を使った卵かけご飯を食べている。夜になれば、はんてんとグレーのスウェットを着て、こたつに寝転び漫画雑誌を読む。
尾関(小瀧望)は絶句。このときばかりは、尾関の顔アップで火サスのテーマ曲が流れてもおかしくなかった。
秀作「俺の顔見て。すっごい幸せそうだろう、どうしてかわかる? 自分が居るべき場所を、やっと見つけたんだ。今までずっと無理してたんだよ。川魚がハワイのビーチで暮らしてたら、息苦しいのは当たり前もんな」
尾関「なに言ってるんですか」
秀作「みんなによろしく言っておいて、こっちは元気でやってるって。お前も姉さんと……、知晶さんと上手くいくと良いな」
目が細め、口角は左右に広がって穏やかに笑う秀作。ぴょこぴょこと飛び出てアホ毛になっている後頭部の髪の毛。寝転んで、サラダせんべいをパリパリと食べる。
惜しげもなくかっこわるい姿を見せた秀作のおかげで、すっかり秀作びいきになってしまった。
次回、最終話は3月17日(土)よる10時から放送予定。
(むらたえりか)
日テレオンデマンド、 Huluにて配信中
ドラマ『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』
出演:山田涼介、波瑠、小澤征悦、中村梅雀、小瀧望(ジャニーズWEST)、恒松祐里、ほか
脚本:金子茂樹
主題歌:Hey! Say! JUMP「マエヲムケ」(ジェイ・ストーム)
オープニングテーマ:もみ消して冬~24のカプリスfeat.高嶋ちさ子 (作曲ニコロ・パガニーニ)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
演出:中島悟
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ