3月22日(木)放送のドラマ隣の家族は青く見える(フジテレビ系列)最終話。
ドラマの中だけにとどまらず、副音声でもワイワイしていたコーポラティブハウスの住人たちにもう会えないと思うと、さみしい。


9話で、ずっと待ち望んでいた赤ちゃんを流産してしまった奈々(深田恭子)。
SNSでは、最終話で「数年後……」というテロップとともに奈々と大器(松山ケンイチ)のこどもが登場する展開を期待する声も多かった。しかし、奈々と大器は、一度こどもがいない未来を考えてみることを選んだ。
最終話「隣の家族は青く見える」一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだ
イラスト/Morimori no moRi

大切な人と別れ本末転倒にならないために


聡子「妻がつらい思いしているときは、夫も一緒につらい思いするべきでしょう。嬉しいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの。つらくても悲しくても、悩んでも苦しんでも2人で一緒に生きていこうって約束したのが夫婦なんじゃないの。それが結婚ってものなんじゃないの」

大器と離れ、実家のある伊豆に帰っていた奈々。大器につらい思いをさせることに耐えられなくなっていた奈々に、義母・聡子(高畑淳子)が助言した。お説教のようになってしまったことを照れ、聡子は言い終わると「ごめんね、ごめんね、いひひ」と泣き笑いになる。

最終話では、4組の夫婦が新しく生まれたり再生したりした。
事実婚を選択した亮司(平山浩行)は、口約束でなく、きちんとした事実婚契約書と遺言をちひろ(高橋メアリージュン)に手渡す。
同性愛者の(眞島秀和)と(北村匠海)は、世田谷区にパートナーシップ宣誓書を提出した。
深雪(真飛聖)に離婚を言い渡していた真一郎(野間口徹)は、素直な良い子に成長した娘たちと、育ててくれた深雪の姿を見て考えを改める。

そして、奈々と大器は、こどもがいない2人だけの人生について一緒に考えてみることを選んだ。

各家庭が家族として関係を再構築しようとするとき「本末転倒」という言葉が交わされていた。
それぞれの家庭の状況は、本人たちが最初に想定していたものと大きく変わってしまった。
こどもを育てることになった。母親に同性愛をカミングアウトすることになった。商社マンの妻ではなくなった。こどもがいない未来を考えることになった。
これらの変化が起こすつらさに耐えられず、夫婦たちは別れを考えてしまうこともあった。

最後の最後に、奈々は大器と夫婦になった理由に気付く。

奈々「赤ちゃんを授かることが奇跡だと思っていたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことが、そもそも奇跡なんだなって。子作りはじめてから、赤ちゃんのことばっかり考えて、こどもにしか目が行ってなかったけど、大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

変化にくじけて別れを選ぶのは、本末転倒なのだ。その変化を一緒に乗り越えられると思ったから、夫婦になるのだから。

大切な人が困難にぶつかっているとき、どう支え合い、どうわかり合うか。「となかぞ」は、それを繰り返し見せてきた。

日常のなかにきっかけを散りばめる


結婚指輪を映すカットが多く出てくる最終話だった。
自分のことでいっぱいいっぱいになり夫のことを思いやれないとき、奈々は指輪をしていない。でも、大器も自分と同じようにつらい思いをしていると気付き、再び指輪をつけ家に帰る。
他の夫婦たちも、指輪を見て相手を思ったり、指輪をつけて愛を誓ったりしていた。

指輪は、日常の中で相手のことや結婚したときの気持ちを思い出すきっかけになる。
見れば「つらくても悲しくても、悩んでも苦しんでも2人で一緒に生きていこう」という約束を、思い出すことができる。
(むらたえりか)

『隣の家族は青く見える』キャスト、スタッフ、主題歌


出演:深田恭子 松山ケンイチ 平山浩行 高橋メアリージュン 北村匠海 眞島秀和 真飛聖 野間口徹 伊藤かずえ 高畑淳子

脚本:中谷まゆみ
音楽:木村秀彬、堤博明
主題歌:Mr.Children「here comes my love」(TOY’S FACTORY)
不妊治療監修:桜井明弘(医療法人産婦人科クリニックさくら 一般社団法人美人化計画)、石川勇介(株式会社ファミワン)
LGBT監修:森永貴彦( LGBT総合研究所
コーポラティブハウス、建築事務所監修:牛田大介(株式会社タウン・クリエイション)
プロデューサー:中野利幸(CP)
演出:品田俊介、相沢秀幸、高野舞
制作:フジテレビ第一制作室
制作著作:フジテレビ

『隣の家族は青く見える』動画は下記サイトで配信中


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