敬礼するユリアン、かわいい。
というわけで、『銀河英雄伝説 Die Neue These』(→公式)第六話「イゼルローン攻略(前編)」。
新装版も刊行開始『銀河英雄伝説 1 黎明篇』(マッグガーデンノベルズ版)。

留守司令官のくだり、原作では地の文でさらっと描かれているだけだ。
“少年をどこか他家へあずけようかと思ったのだが、留守司令官をもって任じるユリアンが承知しなかったのである。”
こういったところを、しっかりとセリフのあるやりとりに再現して、ていねいに描いているのが今回のアニメ版の特徴だ。
シェーンコップ大佐に合いに行くシーンでのフレデリカ・グリーンヒルと荒くれ者たちの対決も、アニメで追加されたシーンだ。
フレデリカ・グリーンヒルがすごい柔術で男を倒し、チョップを決めようとしたのを止める手。
「おまえ、その芝居、いつまで続けるつもりだ。全員わるふざけがすぎるぞ」
登場するシェーンコップ大佐。
というシーンに該当する原作の記述は(おそらく)このあたり。
“うやうやしい口調と不謹慎な表情とが不調和だった。(…)この男はこういうわざとらしい態度をとることで、彼なりに人物鑑定の手段としているのかもしれない”
こういったところを、具体的な動きのあるシーンに変換して見せてくれる。
一方で、省略される部分もある。
今回、あああのセリフがなくて残念と思ったのは、ヤンとシェーンコップの対話シーンのセリフ。
その平和が恒久なものになりえるかと問うたシェーンコップに、
「恒久平和なんて人類の歴史上なかった。だから私はそんなもののぞみはしない」とヤンが答え、
それに対してシェーンコップが、
「失礼ながら、提督、あなたはよほどの正直者か、でなければルドルフ大帝以来の詭弁家ですな」と答える。
その後に、原作では次のセリフがある。
「とにかく期待以上の返答はいただいた。このうえは私も微力をつくすとしましょう。永遠ならざる平和のために」
これが、省略されてたのだ。聞きたかったー。
と、ついつい原作と比べたくなるぐらい、今回のアニメ版は、描く順番やシーンのピックアップや追加が、細やかに行われている。
今話も、原作を尊重しながら、描く順番は入れ替えられ、シェーンコップがひとつの軸となるように再構築されていた。
最後に、ヤンの陰口を叩く提督たちに言ったビュコック中将の言葉を。
「お前さんたちは大樹の苗木を見て、それが高くないと笑う愚をおかしているかもしれんのだぞ」
次回、第六話 イゼルローン攻略 後編。
●Huluにて配信中
●アマゾンプライムにて配信中
●U-NEXTにて配信中