というわけで、『銀河英雄伝説 Die Neue These』(→公式)第八話「カストロプ動乱」。
新装版も刊行開始『銀河英雄伝説 1 黎明篇』(マッグガーデンノベルズ版)。
あっというまにカストロプ動乱をおさめ、オーベルシュタインが、ラインハルトの参謀役につき、ラインハルトがキルヒアイスの髪をいちゃいちゃする回である。
キルヒアイスによるカストロプ動乱の鎮定。
これ、原作では、セリフはひとこともない数行の説明なんである。
アニメ版では、きっちり艦隊戦が描かれ、カストロプ公がばんばん部下を殴り倒すバカキャラになって大暴れした(そして、散っていった)。
ラインハルトとオーベルシュタインの対話シーン。
こちらは、ほぼ原作どおり。
このシーンのやりとりで、オーベルシュタインの大胆さと冷徹さ、目的のためには何であろうがやってしまう陰謀策略家っぷりと暗い情熱が描き出される。
「よかろう、卿を貴族どもから買う」という原作にあるセリフは省略された(アニメ版、最後のモノゴトを決定したセリフは言わせないパタン多い)。
ラインハルトとキルヒアイスが、ふたりで語り合うシーン。
シリアスな話のあいだに、ラインハルトが少し背の高いキルヒアイスに近づいて、その赤毛を触る。
なんですか、この萌え萌えシーンは!
アニメ版の美形キャラっぷりとの相乗効果で、きゃーきゃーシーンになっており、思わず「こんなの原作にあったっけ!?」となってしまったが、ある。
原作のほうも、そうとうのきゃーきゃーシーンである。
“長いしなやかな指が伸びて、ルビーを溶かした液で染めたような友人の髪をかるくひっぱった。他人のいないとき、ラインハルトはときどきこのようなことをする。幼い少年のころ、たまにキルヒアイスと仲違いするとー長くそのような状態がつづいたことはなかったがー「なんだ、血みたいな赤毛」と悪口を言い、仲直りすると「炎が燃えてるみたいでとても綺麗だ」と賞賛するなど、ラインハルトは勝手なものだった”。
きゃー。
しかし、第八話で、原作文庫版の200ページちょい。なんと、じっくり描いていることよ!
これだけ丁寧に描いているにもかかわらず、ネット上で「急ぎすぎ」とか「時間が足りない」って感想がけっこうあるのだ。
あああ、みんないろんなシーンを妄想で付け足してたり、ちょっとした描写を大切に心に抱いておりそこが省略されると悲しむのだなぁ、と「銀河英雄伝説」への思い入れがびしびし伝わってくる。
次回、第九話 それぞれの星。(テキスト/米光一成)