連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
第17週「支えたい!」第101回 7月27日(金)放送より。 
脚本:北川悦吏子 演出:深川貴志
「半分、青い。」101話。鈴愛、おめでた!
連続テレビ小説 半分、青い。 Part2 (NHKドラマ・ガイド) NHK出版
ドラマ後半戦に向けて出版されたガイド本第2弾。この表紙のような爽やかでたおやかそうな女性に鈴愛がこれからなっていくのではないか。

NHKドラマ・ガイド 連続テレビ小説 半分、青い。
Part2


101話はこんな話


鈴愛(永野芽郁)が妊娠したことがわかり、涼次(間宮祥太朗)は映画の道をきっぱり諦めることにする。

鈴愛、妊娠


鈴愛、ボクテ(志尊淳)、ユーコ(清野菜名)がおもかげで自分たちの人生を振り返っていたら、マスター(東根作寿英)がケーキをサービスしてくれた。
「ありがとうございます」と丁寧に言ったのはボクテだけで(想像するに、これは志尊淳が自発的に付け加えたのではないだろうか)、ふいに鈴愛はトイレに駆け込む。しばらくして出て来て「妊娠した」と。妊娠検査薬でわかったらしい。

マスターがケーキを出すことをきっかけに話の流れを変えたい、鈴愛がトイレに立つタイミングを作りたいという狙いだとしても、一度は三人でわーっとケーキを喜んでほしかった。長年の関係性だし、三人ももうずいぶん大人だし、こんなものなのかな。
鈴愛はいつも水しか頼まず節約していたのだから(この日はコーヒーを頼んでいた)大きなショートケーキは嬉しいと思うのだけれど、いつだって鈴愛は突拍子ないということだとすればブレてはいない。
もやもやするが、おめでた、ということなので許す(何様)。

鈴愛がユーコに妊娠したかもと耳打ちする声がとても大きく、マスターにもボクテにも聞こえてしまう。
音量調整がおかしいと言われ、片耳聞こえないからかと言う鈴愛。そうじゃないと否定されていたが、これは、自分のハンディキャップを冗談にできるようになったという表現なのだろうか。あ、いや、昔から、つけ耳をつけたりしておどけてみせることはやっていたか・・・このドラマとチューニングがばっちりな人も多いようだが、チューニングが合わせにくい難易度の高い表現がちょいちょいあって、もやもやするが、おめでた、ということなので許す(何様)。

永遠に監督になれない助監督なんてやっても意味ない


新聞に、元住吉のインタビューが載っているのを読む涼次。そこには「原作を読み終えたとき、衝撃が走った」とある。
これはきつい。「脚本家が原作を気に入って脚本化したものを読んでこれは映像化したいと思った」とか言ってほしい。いくらなんでも不誠実(でも、あるあるなんですこういうこと)。そりゃあやさぐれるわと同情して見ていると、帰ってきた鈴愛にお金を借りて飲みに出かけてしまう涼次。
助監督やって働いてという鈴愛に、「永遠に監督になれない助監督なんてやっても意味ないじゃん」とぼやく。
プロのアシスタントのようにプロの助監督のような人も実際はいる。監督よりも定期的に仕事が入ることもあるのであえてそれを選択している人も。
半分青いの世界では、やるならてっぺん目指すクローズZEROのような、海賊王におれはなるのONE PIECEのような世界なので漫画家のアシスタントや映画の助監督など二番手三番手などありえない雰囲気。脇役に関してあまり描かれないのもそのせいかとなっとく。主人公至上主義。てっぺん主義。そこはブレてない。


「あの喜び方はやばい」


離婚を切り出されるかと思ったら、妊娠の報告で、涼次はすごく喜び、生まれくる子どものために映画の世界
から離れてちゃんと働くことを決意する。
「あの喜び方はやばい」「いまが辛いから・・・」と麦(麻生祐未)が洞察力を働かせると、言葉にしたらほんとになるからと止める光江(キムラ緑子)。
三おばはいろいろ役に立つ。離れを貸してくれているだけでなく、元住吉の自殺未遂も発見するし、鈴愛や涼次の気持ちを理解し、含蓄あることも言う。そのうえ大納言で夫婦共々働かせてくれる。

鈴愛や涼次は高度成長期に働いて財産つくった先代に頼って逃げ切る世代だろう。
だからこそ、売れようが売れまいがだらだらと好きな漫画や映画などを高等遊民的に貪り続けることもできるはずなのだが・・・半分青いは映画や漫画に夢をもったオタク層ではなく、ビジネスとしてドライに考える層を描いているところが面白い。

涼次が元住吉(斎藤工)に映画の仕事を辞める挨拶に行くと、脚本料をたくさんくれる。
そこに一緒に鈴愛もいる意味はヒロインの永野芽郁の出番が必要だからと考えるのは寂し過ぎるので、仕事の話にいつでも妻を同席させるのは、海外の映画祭にパートナーと出席するのがデフォ的な発想なのかなと思ってみる。

いろいろあるけれど、「おはよう日本」(関東版)の高瀬耕造アナの「わたしたち『おはよう日本』も涼ちゃんの復活を信じています」と言う微笑みに免じて(何様)102話も見ようと思う。
この日の「あさイチ」は涼ちゃん役の間宮祥太朗がゲストだった。
(木俣冬)
編集部おすすめ