
シリーズ累計発行部数1500万部を突破している「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載中の、堀越耕平氏による大人気コミック『僕のヒーローアカデミア』。この通称・ヒロアカは、何らかの特殊能力“個性”を駆使して戦うヒーローを目指す少年の成長物語となっている。
8月3日より全国東宝系でロードショーとなるオリジナル劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE~2人の英雄(ヒーロー)~』にも少しだけ出演している千鳥。彼らにとって個性が強いと思う芸人、そしてヒーローだと思う人物は誰なのか―――。ノブと大悟に訊いてみた。
――まずは、劇場版『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE~2人の英雄(ヒーロー)~』の出演オファーがあったときの感想をお聞かせください。
ノブ:嬉しかったですね。こういうアニメの声優をするのって、僕らでいいんかなっていう。爽やかなイメージがある仕事を、よく千鳥に振ったなと(笑)。僕らヒーロー感なんて何もないと思うので、かなりびっくりしましたね。
大悟:僕らが子どもの頃、こういったアニメはたくさん放送されていて。その映画に声で出演できるというのは夢のようで嬉しかったですね。
――おふたりはどんな役柄で登場しているのでしょうか?
ノブ:本人役……と言いますか。

――出番は一瞬だとしても、声とビジュアルですぐに千鳥さんと分かるという。
ノブ:そう。ただ、変な笑いにならないか心配してますね(笑)。千鳥ではお馴染みの“あのフレーズ”が入っているので、お客さんの反応がどうなんやろって。
大悟:ビジュアルがまんま千鳥なんで。千鳥とは言わないですが、アテレコでも「自然体でお願いします」と伝えられて。ただ、このヒロアカの世界に千鳥はいてはいけないと僕は思うし……みたいなことをいろいろ考えましたね。
ノブ:考えてないわ! 大悟はなんも考えてない!
大悟:その答えは映画館に落ちていますけどね。
ノブ:なんやねん、その言い回し。
――(笑)。おふたりは原作をご存知だったんでしょうか?
ノブ:知っていました! 「週刊少年ジャンプ」は元々読んでいましたし、芸人たちの間でもヒロアカはかなり話題になっていた作品だったので。いま8巻くらいまで読んだかな。
大悟:僕も移動中読んでます。
――自分に似ていると思う、または共感できるキャラクターはいますか?
ノブ:それはありますね。ヒロアカに登場するキャラクターは、いろんな方に当てはまるような作品に作られていると思っています。僕は「デク(緑谷出久)」ですね。
大悟:え? デク?
ノブ:誰がどうみてもデクやん。デクは無個性(※個性という能力がないこと)だったじゃないですか。僕も無個性なんで。

――デクはNo.1ヒーロー・オールマイトから個性を受け継ぎますよね。
ノブ:そうなんです。実は僕も個性を受け継いでいるんです、お笑いという名の。僕なんて本当に無個性ですからね。岡山の田舎者で。でも、お笑いの神様から個性を受け継いで、いまお笑い界で頑張っていられるというのは、デクと重なる部分がありますね。あとはピンチの時に、何も考えなしで一歩でちゃうんですよ。デクも考えなしに飛び出すときあるじゃないですか。そこも共感できますね。
大悟:あー…そうやな。ノブはそうかもしれん。
――なるほど。大悟さんは?
ノブ:大悟は梅雨ちゃん(蛙吹梅雨)やな?
――え! そうなんですか?
大悟:そうですね、僕、海のなか強いですから。
ノブ:島で育ったからな。デクも梅雨ちゃんもそうですが、ヒロアカはどのキャラクターも素敵な子ばかりですよね。麗日(お茶子)ちゃんが(爆豪勝己と)戦ったときは感動しましたもん。

――雄英体育祭でのバトルですよね。あれは熱かったです。ヒロアカの世界では何らかの特殊能力“個性”を使って戦うシーンがありますが、千鳥さんのほかの芸人さんに負けないと思う個性はどんなところだと思いますか?
ノブ:漫才も「変な漫才やな」とよう言われるから、それも個性だと思うし……。あとは若手からやってきた“ロケ”ですね。ロケという個性でいうと、一時期年間200本をこなしたほど、かなりの数をやってきたかなと。酷いときは台本なしで、ただ面白いことやってくださいと振られたりとか。埼玉でやっているロケ番組は1日8本撮りだし。未だにやっていますから。そういう意味では、ロケにまつわる個性は千鳥にあるかもしれないですね(笑)。
――なかでも、過酷だったロケの内容は?
ノブ:そら、たくさんありますよ。京都の山奥にいる巨大イノシシを見に行くロケでは、「触ってください」と指示があったり。大悟なんか身体に電流を流されたりもしましたね。
大悟:電流のやつは間違えたら死にますよ、と思うくらい強いものでしたね。バラエティ番組とかでみる電流とは比べものにならないくらい強かったです。
ノブ:あとは、何もないところで「ふたりで面白いことしてください」というのが芸人にとって一番怖いですからね。これが僕ら多いんですよ。この振りがあったら、お互い何か起こさないといけないから、無茶振りし合うんですよ。それを「千鳥は仲良いな」と思われている理由のひとつかもしれないですね。こっちは必死になって笑いを取りにいっているという。(笑)
――千鳥さんからみて、お笑い界で“個性が強い”と思う方ってどんな方ですか?
大悟:みんな個性強いわな。
ノブ:後輩でいうと、三四郎とかね。
――綾部さんのインスタグラムにノブさんがつっこみのコメントを書くことが話題になったのですが、あれはもうつっこまざるを得ない、という心境だったのでしょうか?
ノブ:そうですね。綾部が渡米する前に「日本にたまに戻ってきて、テレビ出たらいいやん」って言ったんですよ。僕、少し心配だったんで。でも綾部は「アメリカで成功するまでは、それはしないです」と言っていて、かっこいいやんって。で、「向こうでお前の活動どう知ったらいいの?」って聞いたら「インスタグラム見てください」と言われまして。実際に見てみたら……全然おもしろくもない。なんかティファニーの店の前で影だけ映っている写真とか投稿していて。「違う違う、お笑い活動しているところを(インスタグラムに)載っけろよ」と。路上でストリート漫才している様子とか。全然おもんないから、注意と怒りを書き込んだ感じですよね。
――そうだったんですね(笑)。大悟さんが思う個性が強い方もお聞きしたいです。
大悟:そうやな~。個性が強いでいうと……ざ・ぼんちとか。
ノブ:いや、個性とかじゃないの。大先輩やから。
大悟:(個性が強いのは)おさむ師匠と思われがちなんですけど、まさと師匠。が、芸人にはいない真面目さ。シュッとした顔、清潔感。あれは一番の個性なんじゃないかなって。
――なるほど(笑)。さて、ヒロアカにはさまざまヒーローが出てきますが、ノブさんと大悟さんにとってのヒーローも教えていただきたいです。
ノブ:助けてくれた人をパッと思い浮かべたら、親父が出てきましたね。真面目に働いて、飯を食わせてくれて、怒るときはガツンと。僕にとって、ヒーローのような存在だったんですよね。だけど先日、番組のロケで実家に帰って、親父と相撲取ってみたら身体が軽くてね……。中身がないペットボトルの重さくらいだった。だいぶショックでしたね。力をなくしたオールマイトのようでした。まあ、もう70歳の爺ですから。でも早川家のヒーローでしたね。

大悟:ヒーローねえ……。小さい頃から見ていてすごいなぁは、ジャッキー・チェンかな。
ノブ:いや、違うやん(笑)。大丈夫か、そのあとの理由とか。
大悟:強いしなぁ……。強くて面白いのが僕のヒーローですね。
ノブ:フィギュアとか持ってるとかないし、ジャッキー・チェンの映画が好きとかも聞いたことないし。大悟は志村けんさんでしょ?
大悟:そうやな。子どもの頃、最初に笑ったのが志村けんさんだったんですよね。ザ・ドリフターズ、かとけん、バカ殿様をよく見ていて。ダウンタウンさんに憧れてお笑いの世界に入ったけど、お笑いを好きになったのは志村けんさんか……ジャッキー・チェンかな。
ノブ:ジャッキーは違うやん、お笑いの種類が(笑)。でも志村さんは僕たちに“お笑いは素晴らしいもの”だと教えてくれた人ですね。
大悟:最近で一番笑ったのは、加藤茶さん、高木ブーさん、仲本工事さんが出演しているCMで、たらいが落ちるシーン。たらいが落ちてきたときの加藤さんの首の角度がおもろいから、一回見て(笑)。
ノブ:よう見てるな。ドリフターズは千鳥の原点であり、ずっと僕らのヒーローなんでしょうね。きっと。
作品情報
僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~
2018年8月3日(金)全国東宝系にてロードショー

<あらすじ>
白熱の期末試験が終わり、夏休みの林間合宿を控えた雄英高校メンバー。デクとオールマイトは、ある人物からの招待を受け海外に浮かぶ巨大人工移動都市<I・アイランド>を訪れていた。世界中の科学研究者たちの英知が集まったまさにサイエンスハリウッドのような島で個性やヒーローアイテムの研究成果を展示した<I・エキスポ>が開催される中デクは“無個性”の少女・メリッサと出会う。メリッサに、かつて同じ“無個性”だった自分を重ねあわせるデク。その時、突如鉄壁のセキュリティを誇るアイランドの警備システムが敵<ヴィラン>にハッキングされ島内全ての人間が人質に獲られてしまう! いま、ヒーロー社会の構造を揺るがしかねない【ある計画】が発動する――。その鍵を握るのは、平和の象徴(ナンバーワンヒーロー)・オールマイトだった。
声の出演:山下大輝、三宅健太、志田未来、生瀬勝久、岡本信彦、佐倉綾音、石川界人、梶裕貴
原作・総監修・キャラクター原案:堀越耕平(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:長崎健司
脚本:黒田洋介
映画公式サイト:http://heroaca-movie.com/
(C)2018「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE」製作委員会 (C)堀越耕平/集英社