『週刊東洋経済』9月1日号が面白い。
特集のタイトルは「宗教 カネと権力」。

創価学会、幸福の科学、真如苑、統一教会などのカネの流れにメスを入れる特集だ。
どうして宗教団体はあんなに儲かるの?「週刊東洋経済」特集「宗教 カネと権力」が面白すぎる

どうして宗教団体は儲かるのか?
どうして宗教団体はあんな巨大な建造物を建てることができるのか?
巨大な経済圏を築く創価学会の収入の柱とは?
『幸福の科学』大川隆法総裁の「霊言」シリーズを信者はどう思っているのか?
電車の広告でおなじみ『強運』の著者でワールドメイト教祖・深見東州の収入源は?
多くの人が疑問に思っていることに逐一回答している。

お布施や寄付はまるっと非課税!


宗教界全体としては、現在、苦境なのだという。
原因は「若者の宗教離れ」だ。信者の総数はこの10年で12%も減っている。
それでも宗教法人は儲かっている。
「税制優遇」という強力な特権を持っているからだ。

世の中の「特権」嫌いの人たちが聞いたら怒り狂うだろう。

まず、宗教法人が「宗教活動」(お布施や寄付など)で得たカネには一切税金はかからない。
1万人の信者が年間1万円ずつ寄付すれば1億円になる。これがまるごと手元に残る。
仕入れ代もほとんどかからないのでウハウハだ。
神社で売っているお守りもおみくじも非課税だし、墓地の販売も非課税である。

宗教法人が行う「収益事業」も税制が優遇されている。
不動産の貸付や駐車場の運営、書店でよく見る出版物なども収益事業の一部だ。
収益事業が得た収益であっても、宗教法人は普通に企業の税金の65%程度で済む。
こうして宗教法人は巨額の富を蓄えていくのだ。

もう一つ、宗教法人が非課税のものがある。
それは「宗教施設」だ。

宗教的な催しをする場所であれば、固定資産税は非課税となる。
だから、少しお金が貯まれば、たちまち巨大な建造物を建てることができる。
なお、国税庁OBによると、国税庁は宗教法人をほとんど調査できていないという。
宗教法人側が政治家にはたらきかけて税務調査を逃れることもあるというのだから、あきれて物が言えない。

『強運』深見東州の戦略的マーケティング


創価学会が現在、力を入れているのは「墓地ビジネス」だ。
拡大に次ぐ拡大を重ね、建設中のものも含めると約50万基に達するという。

墓地の販売価格は1基約1000万円。現在、新潟県に建設中の墓地には2万基の墓地が立ち並ぶというから、それだけで200億円の収入が見込める。
無論、利益率は異常に高い。

幸福の科学の元信者がインタビューに答えている。
偉人や話題の人が続々と登場する「霊言」シリーズについては、「最近のものは軽薄で、インプットがまるで追いついていないとわかる」と痛いところを突く。
しかし、教団が設立した「幸福の科学学園」の生徒たちは「霊言」に基づいた話で世界史を教わっているから、すんなり受け入れてしまっているという。

なお、教団は信者に対して、読まなくても功徳がある「積んどく功徳」を推進しているらしい。

ワールドメイト教祖の深見東州は誌面に自ら登場し、戦略的なマーケティングのもとに布教を行っていると語っている。
「どうせ、宗教なんかうさんくさいと思われているのだから、得体の知れない広告で知名度を上げるのが狙いだ」
「日本人の99%から嫌われても、1%がファンになってくれたら120万人だ」
関連事業として、腕時計の卸商社、予備校、出版社を経営する。年間収入は110億円前後になるという。

ほかにも、教祖の麻原彰晃ら13人の死刑が執行されたオウム真理教の後継団体が今なお膨張し続けていることや、主要教団が支持する政治家の名前、宗教都市化している東京都立川市の実態、統一教会を支える日本からの「苛烈献金」、収益が現象し続けて苦境の「靖国神社」、宗教団体で次々と起こるお家騒動のことまで書かれている。

身近にあるが、知っていそうで知らない宗教団体とカネの話。

書店で買えなくても、電子版が購入できる。
(大山くまお)