ひとつがサウナ。
では、もうひとつが何かというと、スパイスカレーだという。市販のカレールウを使わず、スパイスを調合して作るカレーのことだ。お店で食べるのではなく、自分で作るのが流行っているらしい。
たしかに、書店を見るとスパイスカレーについての書籍がものすごい勢いで増殖している。発売中の有名グルメ雑誌「dancyu」も「スパイスカレーの夏」という大特集を組んでいた。来週の「嵐にしやがれ!」では小栗旬がスパイスカレーを作って松本潤にふるまうらしい。
筆者もカレーは好きだ。スパイスからカレーを作ったカレーはおいしいし、ちょっとカッコいい。でも、料理はまるっきり初心者で、不器用だから料理オンチの部類に入る。カレールウからカレーを作ったことはあるが、スパイスからカレーを作るなんて難しそうでとてもできそうにない……。
というわけで、手に取ってみた一冊が、印度カリー子、こいしゆうか「私でもスパイスカレー作れました!」(サンクチュアリ出版)である。帯の「料理ビギナーでもおいしくできる!」「使うスパイスは3つだけ!」というキャッチコピーに強烈に惹かれたからだ。
著者の印度カレー子は数々のスパイスカレーに関する著書を持つ、その道の達人。マンガを担当するこいしゆうかは、同じくコミックエッセイ方式の「カメラはじめます!」がベストセラーになっている。
必要なスパイスは3つだけ
「私スパ」(勝手に省略)でのスパイスカレーの作り方はきわめてシンプル。必要なスパイスは以下の3つだけ。
・クミン(エスニックな香り)
・ターメリック(カレーの色付け)
・コリアンダー(さわやかな香り)
ただし、これだけでは辛くないので、辛みがほしい人はチリペッパー(唐辛子)とブラックペッパー(黒コショウ)を加えるといいらしい。
スパイスカレーは3つの要素で構成される。
・具材(まずは主役の肉、野菜を1~2種。あとは玉ねぎ、トマト、にんにく、しょうが)
・ベース(液体。ヨーグルト、水など)
・スパイス(香り。上記の3種)
作り方は5つのステップ。材料は2人分。
・フライパンにサラダ油をひき、強火で玉ねぎ(1個をみじんぎり)、にんにく、しょうが(いずれも1かけをみじんぎり)を10分炒める。
・トマト(1個をざくぎり)を入れて2分炒める。
・弱火にして3つのスパイスと塩を各小さじ1入れて約1分炒める。
・中火にして主役の具材(今回は鶏もも肉200グラムを使用)と水(100グラム)を入れる。
・ベース(ヨーグルト100グラム)を入れて混ぜる。沸騰したら弱火にし、フタをして約10分煮込む。最後にもう一度、塩を入れて味をととのえる。
これで完成!
ターメリックをこぼすと台所が黄色くなる
で、実際にやってみた。玉ねぎのみじんぎりを炒めるときは、印度カレー子先生によると「焦げてもいいので」ガンガン炒める。かなりこげ茶色になっても大丈夫。
トマトを炒めるときは、実をつぶすようにする。これは木べらがあると便利。
スパイスは各小さじ1なので、分量で迷うことはない。一番苦労したことといえば、スパイスの容器のビニールを剥がすことぐらいだ。あと、ターメリックはこぼすと台所が真っ黄色になる。
味が薄いと感じたら、スパイスを足すのではなく、塩を足す。あくまでスパイスは香り。「味を変えるのは塩です!」(先生)。
チリペッパーは小さじ1/2だと、あまり辛くない。次は小さじ1入れてみよう。
調理スタートから30分足らずで、意外と簡単に出来上がった……。見た目はアレだが、たしかにいい匂いがする。冷凍ごはんをチンして実食。お、悪くないぞ。
ここから主役(本書ではキャベツ、オクラ、ブリ、あつあげ、キーマなどのレシピが紹介されている)を変えたり、ベース(ヨーグルトのほか、ココナッツミルクなども使用する)を変えたりすればOK。組み合わせ次第で無限のスパイスカレーを作ることができる。
必要なスパイスは3つ、スパイスカレーの構成も3つと、非常に覚えやすい(ステップは5つだけど)。前著「カメラはじめます!」でも帯に「覚えることは3つだけ!」と大きく書かれていた。まるでスティーブ・ジョブスのプレゼンメソッドだ(ジョブスはプレゼンの際、要点を3つだけ挙げる「3の法則」を重視していた)。このあたりが人気の秘訣なのだろう。
スパイスも買っちゃったし、またスパイスカレーを作ってみることにしよう。ああ、また腹が減ってきた……。
(大山くまお)