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内田裕也はなぜニューヨークのハドソン川をスーツで泳いだのか『内田裕也 反骨の精神』

昨年10月に女優の樹木希林が亡くなったあと、暮れに刊行された『一切なりゆき 樹木希林のことば』(文春新書)がベストセラーとなって以来、樹木の生前の発言などをまとめた本が出版各社からあいついで出て、書店にずらりと並んでいる。

樹木が亡くなって半年も経たないうちに、夫でミュージシャン・俳優の内田裕也もこの世を去った。先ごろ刊行された『内田裕也 反骨の精神』(青志社)は、樹木の一連の本と同様に、内田の生前の著書や雑誌などでの記述・発言をまとめたものだ。
内田裕也はなぜニューヨークのハドソン川をスーツで泳いだのか『内田裕也 反骨の精神』
『内田裕也 反骨の精神』(青志社)。今年3月に内田が亡くなったあと、その生前の発言を一冊にまとめて6月に刊行された

ニューヨークのハドソン川をスーツで泳いだ男


本書のカバーを飾るのは、パルコのCMの撮影で、ニューヨークのハドソン川をスーツ姿で泳いだときの写真である(撮影は加納典明)。このCMはもともと内田から当時のパルコ社長・増田通二に直接提案して実現したという。当初は「そんなことできるわけないじゃないか」「いや、できると思うから言ってんじゃないですか」と水掛け論になったが、1週間後、会議室に呼び出されると、広告制作のためのスタッフが勢ぞろいしていた。こうして実現したCMは、高い評価を受けることになる。内田はこのときもう一つ、エンパイアステートビルのてっぺんに登るというアイデアも持っていたが、こちらは高額の保険に入らなければ許可できないと言われて実現しなかったらしい。

内田のアイデアマンぶりは、少年の頃からだったようだ。戦後まもない中学時代には「真空式洗濯機」なるものを考案して、全国中学発明コンクールで一等に選ばれたりしている。ロックンロールと出会ったのは高校時代。やがてギターを手にすると、学校もやめて、地元・関西のジャズ喫茶をバンドを率いてまわるようになる。1960年前後に上京してからは、芸能事務所の渡辺プロダクションに所属しながらプロデュース的なことにも手を染めた。このころ大阪で発見したのが、沢田研二らのいたファニーズというバンド、のちのザ・タイガースだ。彼らを東京に呼んで、「内田裕也とザ・タイガース」として活動を始めるも、バンドの人気が出てくると内田だけ契約を切られ、それを機に渡辺プロを飛び出した。

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