NEWSの加藤シゲアキ主演のドラマ『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系・日曜22:30〜)第8話。

今回のゲームは、仕掛けが大がかりなわりに、謎解きは延々と計算するだけという地味さゆえ、実写化にはもっとも向いていないと思っていた「魔女の館」。


21人が一組となって挑戦し、「鏖(みなごろし)の魔女」の出す謎を解き明かせばリング21個がもらえるが、レベル「ハード」なので、失敗すれば即死のハイリスク・ハイリターンなゲームだ。

ここまで次々とゲームをクリアしてきているゼロ(加藤シゲアキ)に便乗して自分もリングが欲しい! というボンクラ20人が集まって、このゲームに挑戦することに。
「ゼロ 一獲千金ゲーム」ゼロが何をやっているのか分からなすぎて、バカ側に感情移入しそう8話
イラストと文/北村ヂン

とにかく数学問題についていけない!


正しい道には兵隊が砲丸の左に1人、右に11人並んでいて、砲丸の右の9番目と10番目がこのままでは「4」「2」って事なの。それが今、この部屋の運命。

……こんな感じの「謎の文」から答えを導き出すのが第1問。

早くも思考停止しそうになるほどチンプンカンプンだが、ゼロは閉じ込められた部屋が正方形で、なおかつ一辺が約14.14mであることを突き止め、「√2」を小数に直した「1.41421356(ひとよひとよにひとみごろ)」がカギだと見抜く。

問題文のままだと「1.4142135642(いよいよ21人見殺しに)」となってしまうので、正しい小数点以下9桁目、10桁目を導き出せばいいらしいのだが……。

うーん、分からん!

高校生の頃にはすでに数学を理解することをあきらめ、大学受験では数学ナシで入学できる学校を選んでいたボクは、この段階でまったくついて行けず。

「迷宮のトライアングル」の二等辺三角形の角度が云々という問題もだいぶキツかったものの、図形問題なのでまだマシだった。しかし今回は完全な計算問題。

じっくり読んだり、前のページに戻って読み返せる漫画ならまだしも、分からなくてもドンドン話が進んで行ってしまうテレビドラマで、この問題はさすがにムチャだったのでは!?

このドラマ、変なところはドラマ独自にアレンジしちゃうんだから、明らかにドラマ向きじゃないこの問題も、もっとドラマに適した別の問題に変えてくれればよかったのに……。

思わずバカの方に感情移入しそうに


数学がミラクル級に得意な人意外の、大多数の視聴者は、ゼロが数式をバンバン解き明かしていくのを眺めているしかなかったと思われる今回のゲーム。

そんな中での見どころは、謎解き以外の部分で足を引っ張りまくる「バカたち」だ。

壁からズボッと槍が飛び出してきて、徐々に迫ってくる。
制限時間30分以内に謎を解けないと、全員、串刺しにされてしまうという極限状態でパニックになるバカたち。

ゼロに便乗しようと、のこのこついてきたんだから、指示されるままに、かけ算や足し算をしていればいいのに、何だかんだで自我を出そうとしてくる。

ある意味、謎解き以上に厄介な存在なのだ。

「何やってるのかさっぱりだよ!」
「やってらんねー!」
「そもそもそれが違うってことはないのかよ!」

しまいには「行こうぜ!」と、ゼロたちの元から立ち去ろうとするが、完全に四方をふさがれた密室の中でどこに行こうというのか……。

そんなところもバカなのだ。

「計算で謎を解き明かす」ゼロたちについていけなかったバカたちは語呂合わせで謎を解こうと、ない頭をひねる。

「35640(見殺しゼロ)」
「35639(見殺さナイン)」

なんちゅうIQの低そうな発想。

……とは思うものの、実際にこの問題、まったく理解できないので、「何やってるのかさっぱりだよ!」というバカたちの意見にうっかり感情移入してしまいそうになるのだ。

ゼロはゼロで、「じゃあオレがやるのを見ていてください、一度見れば分かると思いますから」なんて完全に人を見下した、感じの悪いことを言うし……(そして一度見てもボクにはまったく理解できませんでした)。

「天才にしか解けない謎」を表現するにしても、やはり視聴者がある程度ついてこれる謎じゃないと、ドラマとしては成立しにくいのではないだろうか。

もしくは「カイジ」などでよく使われている「理屈をすっ飛ばしたとんでもない切り抜け方」を見せてくれれば爽快感があるというものだが、今回のゲームの解法はとことん数学で突き進む理論的なもの。数学についていけない視聴者は傍観者になるしかなかった。


塾では、小学生にメチャクチャ分かりやすい授業をしていたゼロ先生。もっと。数学がダメな視聴者にも優しい解説をして欲しかったです!

小山くん、ホントに出てくるのかな?


原作ではその後2問目として、四方から飛んでくる矢から身を守る問題。3問目は、天井から何か来る……かと思ったら床がズボッと抜けるというダイナミックな問題が用意されていたのだが、なんとドラマ版では3問目はナシ。

計算問題を延々とやるのを見せられるよりは、ドカーンと床が抜ける方が、ビジュアル的にも派手でドラマ映えしそうなのに!

まあ、あんま大がかりな仕掛け、ホントに作るのは予算的にムリだろうとは予想していたけど。

そして第8話の最後には、遂に標(佐藤龍我)が4個目のリングを獲得したことがアナウンスされる。

しかし標くん、初日でいきなり3つのリングをゲットして以降、少なくとも3日は経っているハズなのに、今まで何やってたの? 寝てたの!?

それとも、失敗しても被害の少ない「セイフティ」のゲームばかりに挑戦して、失敗し続けてたの!?

とにかく4個目のリングを獲得した人が出たことで、1000億円争奪のゲームも終了……のはず。

在全(梅沢富美男)の後継者争いの結末は、原作でも描かれていない部分だけに気になる! そしてNEWSの小山慶一郎がいつ出てくるのかも気になるぞ!
(イラストと文/北村ヂン)

【配信サイト】
日テレオンデマンド

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TVer

『ゼロ 一獲千金ゲーム』(日本テレビ系列)
原作:福本伸行『賭博覇王伝 零』(KCデラックス 週刊少年マガジン刊)
脚本:小原信治
演出:丸谷俊平
主題歌:NEWS「生きろ」(ジャニーズ・エンタテイメント)
チーフプロデューサー:福士睦
プロデューサー:櫨山裕子、秋元孝之
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
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