NEOGEO登場当時を振り返る!ソフトが高額すぎて手が出ない小学生続出
1NEOGEO Wikimedia Commonsより Photo by Evan-Amos

格闘、弾幕シューティング、レース、スポーツ、パズル、クイズ…etc...、1990年代はアーケードゲームに子どもが夢中になった時代だ。とはいえ、子どもが手にする小遣いはたかが知れたもの。
そんな中、アーケードのタイトルが自宅でプレイできる夢のようなハードが登場した。

高額すぎるソフト…1本3万円超え


ファミリーコンピュータ(通称ファミコン)に続いて大ヒットした任天堂の家庭用ゲーム機スーパーファミコンの発売から遅れること約半年、業務用(ゲームセンター向け)タイトルがそのまま自宅で楽しめる家庭用ゲーム機としてSNK(エス・エヌ・ケイ)から登場したNEOGEO(ネオジオ)というブルジョアゲーム機の存在を覚えているだろうか。つい最近、幻のNEOGEOゲームと言われる「ちびまる子ちゃん まるこデラックスクイズ」が秋葉原のまんだらけコンプレックスに入荷され200万円というプレミア価格にもかかわらず入荷翌日には売れてしまったというニュースが密かに話題になったので、久しぶりに聞いたという人もいるだろう。

スーパーファミコン本体が当時の希望小売価格2万5000円、ソフトの平均価格が1万円を切るくらいの時代に、なんとこのNEOGEOは希望小売価格4万8800円、ソフトの平均価格が3万円、高いものだと5万円を超えるという価格帯で勝負を挑んだ。CMで耳にした「100メガショック!ネオジオ!」というフレーズは、当時小学生だった筆者も意味はわからずとも数字からして凄いということだけはハッキリと認識できていた。

スーパーファミコンソフト『ファイナルファンタジーVI』が24メガビットで大容量、超美麗、ハイクオリティといわれていた時代に、NEOGEOソフトは100メガビットを超えるソフトが多数揃っていた。今となって冷静に考えてみると、6倍以上の容量で3万円前後というのは「安い」という表現のほうが正しいのかもしれない。
しかし、ただの無力な小学生だったというどうしようもない事情を顧みても、高価でとても手が出せない代物だったことには変わりない。

果たして、NEOGEOを所有している家庭は小学生視点では大富豪か王侯貴族かと認識されていたのだった。

CD-ROMタイプが登場するも……


NEOGEOソフトが高価すぎて財力に物を言わせるマニアの所有物と化していた頃、安価なCD-ROMタイプで同タイトルが遊べるようになった「NEOGEO CD」が登場した。従来のNEOGEOゲームを手にできないNEOGEO難民にとってまさに一筋の光が差し込んだ瞬間だった。

CD-ROMタイプでは、ソフトの価格はこれまでの約6分の1である1本約7000円前後。NEOGEO CDが登場したことで、子どもがようやく手を出せるものになったと思われた。…いや、少なくとも筆者はそう思っていた。


セガサターン、PlayStationといった家庭用ハードが覇権争いを繰り広げている中登場したNEOGEO CDは、残念ながら家庭用ハードの主役に躍り出ることはできなかった。なぜなら、CO-ROMタイプの家庭用ハードの中でも致命的なほどに読み込み速度が遅かったのだ。

他のハードの読み込みが早かったわけではない。NEOGEO CDのCD-ROM読み込み速度が遅すぎたのだ。そのロード時間の長さは、友達との対戦が始まるまでの間の待ちの空気に耐えられず離脱するプレーヤーを続出させた。

NEOGEO miniの登場に往年のSNK格闘ファンも歓喜!


NEOGEO登場当時を振り返る!ソフトが高額すぎて手が出ない小学生続出
NEOGEO mini Amazonより

ソフト面では『サムライスピリッツ』をはじめとする格闘ゲームの雄として一時代を築き上げたSNKだったが、2000年代に突入して間もなく倒産した。
しかし、SNKの知的財産所有権を一括譲渡したプレイモア社が10数年の時を経てSNKプレイモアから2代目SNKに社名変更。そして今夏、手のひらサイズのファミコン/スーパーファミコンならぬ手のひらサイズのNEOGEO miniを発売した。

かつての家庭用NEOGEOではなくあえて駄菓子屋の軒先やゲームセンターに設置されていた筐体を再現したデザインに、『キング・オブ・ファイターズ』、『サムライスピリッツ』、『餓狼伝説』といった名作タイトルが40本も収録されたNEOGEO miniは、少年時代に100円玉を握りしめて順番を並んだあの頃を思い出させてくれる。かつて1ソフト3万円以上だった時代から、今では40タイトルが遊べるプレイ環境までついてきて1万円弱。いい時代になったものだ。

(空閑叉京/HEW)