第5週「信じるんです!」 第25回 10月29日(月)放送より
脚本:福田 靖 
演出:安達もじり
音楽:川井憲次
キャスト:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平、
     桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子、橋爪功ほか
語り:芦田愛菜
主題歌:DREAMS COME TRUE「あなたとトゥラッタッタ♪」
制作統括:真鍋 斎
「まんぷく」25話。早くも終戦、闇市で一杯のラーメンを分け合う福子と萬平
イラストと文/木俣冬

25話のあらすじ


昭和20年8月、終戦を迎え、大阪に戻ってきた福子(安藤サクラ)たち。家も会社もなくなっていて、克子(松下奈緒)の家に身を寄せる。

あっという間に終戦


「今日が“べっちょない”一日でありますように」
「おはよう日本 関東版」の高瀬耕造アナが24話に出てきた言葉を受けて語った。

25話でははじまってすぐに終戦。
そしてあっという間に10月。
戦後の焼け跡や闇市描写は朝ドラ名物のひとつ。
とりわけ闇市の活気は毎回、スタッフの力の入れどころなのだろう。
今回もノウハウの蓄積が生かされているのを感じた。毎回、オープンセットで作り込むのも大変だろうから、
アニメのバンクシステムを使ってもいいのでは。あ、でも、毎ドラマ、地域が違うから使い回せないのか。

一度、闇市で、「ごちそうさん」のめ以子、「べっぴんさん」のすみれ、「わろてんか」のてんなどがすれ違うようなシーンを見てみたい。舞台のスケッチシーンみたいに、歴代ヒロインが交錯していくような感じはどうでしょう。

野呂さんが台詞に出て来ない。


忠彦(要潤)、真一(大谷亮平)、敏ちゃん(松井玲奈)とハナちゃん(呉城久美)、牧さん(浜野謙太)と恵さん(橋本マナミ)を心配する福子。
「まんぷく」では、何か物思いにふけるときお風呂を沸かしているシーンになる。ひっそりひとりになって、しゃがんでうつむいている感じがちょうどいいのだろう。


ああ、野呂さん(藤山扇治郎)が完全に忘れられている。上郡にもうひとり「幸吉」という名の人物がいた(藤幸吉)ことからして、扱いが軽いのがわかる。同じ名前の人がいるのは世の常とはいえ、ドラマでわざわざそれはないだろう。
なにかと残念な野呂さんだが、11月3日(土)に大阪、BK ワンダーランドで藤山扇治郎がトークショーを行う。何を語ってくれるだろうか。

せっけん15円、ラーメンも15円


克子と鈴(松坂慶子)が闇市に着物を売りにいくと、せっけんが15円と高いと鈴はたまげる。
上郡に疎開したとき「つまらないものですが」ともっていったせっけんが15円と価値が上がっていた。
克子がしっかり者感を出し、着物を、50円では売らない、100円なら売るという裁量を発揮する。
「せっけん15円」の台詞を最初にだしたことで、視聴者にこの時代の値段の基準がある程度わかるようになっている。あとで、福子たちが食べるラーメンは15円。せっけんとラーメンが同じ値段なのだ。

一方、萬平(長谷川博己)と福子は上郡に根菜裁断機と着物を売りに行く。

家も会社も燃えたというが、根菜裁断機と着物はいったどこにあったのだろうか。

「萬平さんいは人にはない才覚があります。そのうち突拍子もないことをはじめて私達みんなを幸せにしてくれるんです」
「私の旦那さんはそういう人なんです」とひたすら励ます福子。
こうやって根拠なくても信じてもらって、嬉しくて萬平はがんばっちゃうのだろう。いい奥さんに出会った。

「まんぷく」は完全に、貧しくても助け合う麗しい夫婦物語になっていて、帰りにラーメンを一杯、分け合うふたり。

麺だけだが、スープの色もきれいで、台詞によればいいニオイがするらしい。ニオイだけはテレビではわからないが、長谷川博己と安藤サクラの美味しそうな演技で伝わってくるようだ。ものすごく満ち足りた表情をするふたり。
「もっと食べろよ」「かわりばんこ」といちゃいちゃ。

「幸せになる一番てっとりばやい方法は食べることかも」とメッセージ性のあることを福子が言っていると、
牧と恵がラーメンを食べに来た。ふたりはちゃんと二杯頼んでいた。

(イラストと文/木俣冬)

連続テレビ小説「まんぷく」
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

朝ドラ「べっぴんさん」もBS プレミアムで月〜土、朝7時15分から再放送中。 
高良健吾演じる潔が警察に逮捕されてしまう。こちらの闇市描写も力が入っている。「べっぴんさん」第25話レビューはコチラ